【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ18)

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第109話　愛別離苦② ページ18

間接的に握手…？何言ってるんだこの人…

とか思ったが、傑は割とそういうところあるからツッコまないことにした。

「俺は漏瑚と直接触れ合いたくて」

「そうかい？ならこれでいいだろう」

「お、わ」

傑に手を引っ張られ、前のめりになる。
漏瑚も同じように引っ張られて一気に距離が縮まった。

傑がパッと手を離したことで、俺の胸に漏瑚が飛び込んでくる形になってしまった。

漏瑚は意外と身長があるので、二人はちゃんと立つとほぼ同じ高さなのだが、前のめりになったおかげか事故チューなんて惨事にはならなかった。

「…！！！！貴様ァ！！」

すぐに体勢を戻して離れようとするので、俺は反射的に腰に手を回して持ち上げた。

「なんッ…」

状況が一瞬理解できなかった漏瑚は無量空処を食らったような顔をしたらしいが、抱き上げている俺には見えなかったので後日談。

「…………あれ」

こんなことしたらすぐ燃やされるだろうと思ってバリアの準備をしていたが、いつまで経っても呪術を使う気配が無い。

一度抱き直して子供にするみたいな抱っこの状態にしても、抵抗しない。

「漏瑚？」

「…っふ。諦めたみたいだな」

張本人である傑が漏瑚の顔の方に回って笑った。

漏瑚はデカいため息を吐いたと思うと、俺の腕の中で力を抜いた。

「…先日は興味深いモノを見せてもらった。多少は許す、好きにしろ」

なんて宿儺のようなことを言って、俺に体を預けた。

「っっなん…なんだ、漏瑚……」

(許されざる可愛さ…)

「君が望んだことなのに、なんで君が苦しんでいるんだ」

傑は早くも興味を無くして定位置に戻った。

同じくビーチチェアに座って俺達を見ていた真人は、どこから手に入れたのか携帯で写真を撮っていた。呪霊はカメラに映らないというのに。

「しょ、うがないだろ、漏瑚には嫌われてたみたいだからこんなこと無かったし！」

「今も嫌いだ馬鹿者」

心的にも腕の力的にもこれ以上は耐えられないと察し、砂にそのまま座り込んだ。

「服が汚れるよ」

「いい」

あぐらの上に漏瑚を座らせて、正面から抱き締めた。抱き枕のごとく。