第106話 雨降って地固まる�� ページ14
「なんで、ここに」
人間は死ぬと分かったとき、なにも感じなくなるんだとこの時初めて知った。
ボヤけていた頭が覚醒してくるにつれて、狼男だけでなく辺りの木々も燃え上がっていることに気が付く。熱いし、暑い。
視覚は薄ぼんやりしていて漏瑚がどんな顔をしているのかなんて見えない。
「ふん、偶然通りかかっただけだ。貴様を助けに来たわけではない！」
過程はどうあれ、助けられたことに違いはない。
「あ、りがとう、漏瑚」
喉が焼かれたのか、声が出しづらかった。
しかしぼんやりでも漏瑚が苛立っていることは分かった。
漏瑚は俺の前に立ち、片手を差し出す。
「…貴様に死なれるとあやつらが五月蝿い」
肩の痛みを無視して、まだかろうじて動く右腕で漏瑚の手を取り立ち上がる。
足はそこまで酷い怪我は負っておらず、自立が可能だった。
しかし同時に、視界の隅で影が動いた。
「まだ生きていたか」
漏瑚に焼かれた狼男は、全身丸焦げになりながらも立ち上がった。
「めちゃくちゃ、タフだな…」
見目だけだと瀕死に見えるが、呪力の感じだと全く弱っている様子がなかった。
漏瑚は鬱陶しそうに片手を振ってもう一度燃やすが、狼男はちっとも怯まない。
大きく舌打ちをして、いっそう苛立って俺を見る。
「体毛に火が付くだけで、一切の攻撃を受け付けておらん」
狼男も目は殆ど見えていなさそうで、腕を適当に振り回して攻撃している。
当然ながら俺達には届かず、勝手に暴れているだけだ。
「でも、祓わない、と…」
呪術師として任務を受けたからには、最終的には祓わなければならない。
漏瑚(本気ではないにしろ)の攻撃も効かず、俺は全身大怪我。
一方で狼男は俺が脇腹に入れた傷のみ。治っていないのは狼男の特性だろうか。
「あの傷は貴様が入れたのであろう。では貴様がやれ、それが呪術師の仕事なのだろう？」
狼男の傷を指差して、俺を見て悪い顔で笑った。
相変わらず視界がぼやけている。
血を流しすぎて頭もフラフラして足も覚束なくなってきた。
狼男は未だ全く検討違いのところで腕を振り回している。
漏瑚はこれ以上手出しする気は無いようであった。
(俺がやるしか、ないのか)
不安定な足取りで、狼男に少し近付く。
それに気付いた狼男が、再び攻撃しようと腕を振り上げた。
だが出来る、いまなら
「領域展開＿＿＿“
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ゅ ぅ ゅ 。(プロフ) - おいおい、花御可愛すぎんか❥･•??? (8月21日 9時) (
レス) @page21 id: 306f53c7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年5月29日 23時
