第57話 反省�� ページ10
領域の入り口から少し離れたコンビニまで歩いて、スマホを手に取る。
少しの着信音の後、すぐ通じた。
「あ、潔高？」
《華御さん…！？今どこに》
相手は潔高。
里桜の一件以降ほぼ行方不明状態だったため、声だけで心配が手に取るように分かる。
「高専帰るから迎えに来てよ。場所は＿」
現在地を伝え、コンビニに入る。
自分用のおにぎり数個と、少しのチョコ。
外で鮭おにぎりを食べながら待っていると、潔高の車が視界に入る。
後部座席のドアを開けて乗り込んだ。
「ごめんね潔高、忙しかった？」
「いえ、それより虎杖君が心配していました」
「そっか〜、そうだよね」
俺のために真人と戦ったのだから、会ったらお礼を言うつもりだ。
はい、と潔高にチョコレートを渡す。
「いつものお礼。コンビニので悪いけど」
潔高は半泣きで受け取った。
いつも悟の相手は大変だろう。
「吉野順平とその親御さんの件ですが、今は高専で保護されています。どうされますか？」
「ん？んー……それ俺が決めることなの？」
「一応貴方が保護したことになっているので」
どうせあとで会おうと思っていた。
「帰ってから会う。そこで話すよ」
分かりました、と言って高専に車を走らせた。
＿＿＿＿＿＿
「東京呪術高専！」
久しぶりな気がする高専の緑に溢れた和風建築を目の前にしてちょける。
「テンション高いですね…」
順平に会う前にけーくんと悠仁に会おうと思い、潔高にお礼をし、コンビニの袋片手に歩いて向かう。
久しぶりの高専の廊下に気分が上がる。
少し開けたところの休憩スペースに、悟とけーくんが座っていた。
真ん中の机にコンビニ袋を置く。
「おにぎり食べる？」
「三那人もおにぎりでキャッチボールしながら政教分離について語りたい？」
「ん？なんの話？勉強？」
悟は机に足を乗せている。行儀が悪い。
異様に長い足のアピールなのか。
暇なんだろう。
「無事でなによりです」
新聞を読んでいたけーくんが俺に目を向けた。
「呪霊は見つからなかった。多分、生きてる」
(嘘ついてごめんね)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年5月14日 22時
