【嗜好・興味：呪霊】.2 (ページ7)

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第54話　反省② ページ7

「ん～……潮風」

領域内に入り、潮の匂いを全身で感じる。
領域には全員いるようだ。

「高専にある寺社仏閣。そのほとんどがハリボテで、天元の結界術によって日々配置を替えるんだ」

ビーチチェアに座った傑が話を始めるが、俺の分は無い。

立って聞こうと思ったが、真人に腕を引っ張られて同じ椅子に座った。

俺が先に座り、真人がそれにもたれるように。

傑はいつ着替えたのか、あまり似合わないアロハシャツを着ている。

「その中の千を超える扉の内一つが“指”を含む危険度の高い呪物を保管する蔵へと通じている。

その日、どの扉が蔵へ通じているかは天元しか知らないから、邪魔は入らないと思うよ」

俺も、天元の結界に関しては専門外だ。

(真人が密着して暑い…なんのためのパラソル)

「天元とは何者だ？」

「不死の術式を持った呪術師さ」

たまに“星漿体”と同化しなければいけないが、死ぬことは無い。

「不死！？五条悟とどちらが強い」

「不死であっても不老ではないんだ。ただの木か何かだと思ってくれていい」

俺はもちろん天元を見たことなどない。
まず現(うつつ)に姿を現さないのだ。

(何百年も生きてたら人の形してるかも分からないな)

「以前三那人が回収した指。アレに真人の呪力で作った札を貼っておいた。
一層の封印の内側だからまず剥がされない。真人なら簡単に辿れる」

「は……また俺に協力させたな」

ズル賢く頭は回る。
傑は俺を見てにっこり笑った。

殴ってやろうかと思ったが、真人に止められた。

「門番的なのは？」

「扉から蔵までの間に天元の側近が二人。雑魚だよ。

それよりも真人は“帳”が降りる前に高専で待機してる術師をできるだけ静かに間引いてほしい。花御の負担を減らしたい」

(…阻止したろ)

敵であるはずの呪術師の前でペラペラと話を進める。
呪霊達が交流会を襲撃する気だと察し、茶々は入れずに頭だけで考えた。

『何故五条悟を“帳”の内側に閉じ込めないのですか』

作戦のメインである花御は、その作戦に疑問を持った。

会場外に用事があるのなら、五条悟を帳の外に置いておくのは危険ではないかという疑問。