第82話 供花�� ページ36
その“供花”から呪力の放出を感じ取る。
「東堂！三那人！」
「悠仁来るな！」
「とんでもない呪力出力だ！！」
供花に光が集まっていく。
『しかしアナタの術式があれば躱すのは容易いでしょう。ならばどうするか…
領域展＿＿』
その瞬間、帳が上がった。
領域展開をしようとしたらしい花御が止まる。
「……やっとか」
上空には目隠しを外した悟。
ようやく、帳から解放された。
高専側の勝ちだろう。
『どうやらここまでのようですね』
花御は悔しそうにしていたが、悟相手では勝てないと分かっているようで、すぐさま逃走に切り替える。
根に自分を包み込ませていく。
(！…この出力は…)
「ざけんな！！何がしてェんだよテメェらは！！」
「
葵が悠仁を止めた。
正解だ。
俺と葵は悟の呪力出力に気付いた。
それ以上進んだら巻き込まれる。
そのあとすぐに放たれた衝撃波。
(赤と青を混ぜて紫…だかなんか言ってたな、全く分からないけど)
どうせ悟にしか出来ないから理解は必要ないのだが。
その衝撃で花御ごと地面が抉られた。
「ははっ…意味分かんない」
「相変わらず規格外だな。
これでは祓えたかどうかも分からん」
(あー…確かに)
抉れた地面を中心に円を発動させてみると、僅かながらに感じる花御の呪力。
(良かった、生きてる……とか思っちゃダメか)
「三那人」
背中に衝撃。
怪我人だと言うのに、悟に思い切り背中を叩かれた。
「適当すぎる。あの呪霊生きてるよ」
「そうみたいだね。ま、なんとかなるでしょ」
なんともならんと思うのだが。
「三那人その腕！！」
今度は悠仁が寄ってきて、木で出来た左腕を見て顔を青くした。
葵は遠巻きに俺達を見ているが、なんか腹が立つ。
「大丈夫。とりあえず硝子んとこ行くね」
「行ってらー、僕は後処理あるから」
捕まえた呪詛師だろう。
俺が拘束した方は芽の一件で術式が解けたので逃げられた。だから楽巌寺学長に任せたハゲのほうだ。
悠仁に離してもらって、一人で歩く。
痛みはすでに麻痺しているのか感じない。
(さて、歌姫は無事かな)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年5月14日 22時
