【嗜好・興味：呪霊】.2 (ページ31)

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第77話　黒閃② ページ31

「花御、これ解呪してくれない？」

木の陰から花御に話しかけた。

『…断ります。
それより、私と話していてはマズいのでは？』

「いいよ別に、二人とも気付いてないし。あーあ悔しいね、葵のほうが教師適正あるんだもん」

『貴方の場合やる気がないのでは』

(バレてーら)

葵と悠仁は話に夢中で俺が移動したことにも気付いていない。
めちゃくちゃ自分達の世界に入り込んでいるようだ。

話が終わる気配がしたため、また元の位置へ戻った。

「消えたか？雑念は」

「ああ。雲一つねぇ」

何を話していたのか知らないが、悠仁の顔はすっかり晴れていた。
葵も何故かしたり顔をしている。

虎「Thank you so much(サンキューソーマッチ)

東堂(ベストフレンド)！！」

(面白いなぁこの子達)

悠仁は今度こそ落ち着いた顔で花御に向き直った。

“黒閃”という、打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み。その威力は平均で通常の2.5乗、狙って出せる術師は存在しない。

ちなみに俺は経験した側であるが、イマイチ成長した実感はない。

打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間、空間は歪み＿

呪力は黒く光る。

花御に、悠仁の黒閃がキマった。

「やるじゃん」

「成ったな」

悠仁の呪力が上昇した。
それと同時に悠仁本人も自身の呪力を理解したようだ。

「おめでとう(ｺﾝｸﾞﾗﾁｭﾚｰｼｮﾝ)、超親友(ブラザー)

オマエは強くなれる」

(教師みたいだな)

花御の右腕がひしゃげている。
が、呪霊なのですぐにパキパキと治っていく。

悠仁は怪我が治ったことに驚いていた。
今後は戦闘だけじゃなく普通にお勉強も必要だ。

「呪霊は呪力で出来てるから、高度な反転術式がいらない。特級だからあれくらいわけない…神秘だよね」

人間と呪霊では、身体構造から違う。

「ああ。だが確実に呪力は削れるし、急所(あたま)を潰せば終了(ゲームセット)だ」

勝つ気満々の二人をよそに、痛む肩を押さえた。