【嗜好・興味：呪霊】.2 (ページ19)

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第65話　京都姉妹校交流会　-会議⑤- ページ19

悟はそう言った後、ね！と歌姫に同意を求めた。
歌姫はそれに頷いて、俺を見る。

「そうね、でもあなたの性格からし＿」

「三那人の性格からしてそれはありえないんだよねー」

「っこの、五条！！！」

自分から振っておいて歌姫の言葉を遮った。
悟はキレる歌姫を無視して言葉を続ける。

「三那人はさぁ、呪霊が好きって言ってるけど、それって呪霊を痛めつけることに快楽を感じてるでしょ？」

「…面と向かって言われると恥ずかしいな」

「恥ずかしがるところ違うでしょ」

その通りだ。
俺は呪霊が好きだから協力するのではなく、自分の手で痛め続けるのが好きなのだ。

ただ、自分より格上には控えているだけで。

悟は目隠しを押さえて前を向いた。

「だからっていうのもあるし、君とは長い付き合いだしね」

その悟の言葉に、ため息をつく。

「…信用されてるならいいかぁ…」

「私はそんなに長くないけど…まぁ言いたいことは分かるわね」

歌姫も賛同した。

「ま、話はこれだけ。三那人もいろいろ注意しててね」

「ん。分かった」

高専関係者…もしかしたら学生に内通者がいるなんて考えなくないけどなぁ、とぼやく。

もちろん悟と歌姫も同意見だし、誰もが思っている。

疑心暗鬼になっても仕方がないのであまり意識はしたくないのだが。

「じゃあ戻りましょう」

観戦部屋に戻るため歩いていく悟と歌姫を、少し後ろから追いかける。

(…ふぅ。緊張したけど、相変わらず効果は抜群だな)

＿＿俺は、術式を常時発動させている。

自分で創った、「存在しない植物の花粉」を周囲に振りまいていた。

それにより、誰であろうと俺のことをなんの疑問もなく信じるようになる。

悟でもそれに気付けないのは、左腕の呪いで気配がカモフラージュされているからだ。

気付かれようとも、俺がやっていないと言えば信じてしまう。

(怖いのは、呪力切れで意識を失うこと)

そうなれば術式が解けてしまう。
嘘で塗り固められた現状が、崩れ去る。

＿三那人が呪力切れを恐れているのはそのせいだった。