第49話 左腕�� ページ2
「三那人……」
倒れ込む三那人の腕は、おかしいほどに変形している。
虎杖は絶望しながらも、まだ呆然としゃがみこむ順平を見た。
「っ順平！！お前は逃げろ！！
分かっただろ、こいつは、呪霊ってのはこういう奴らなんだ！！！
だから！早くッ！！」
虎杖はそう叫びながら、順平の腕を掴んで立ち上がらせる。
背中を思い切り押すと、意識が返ってきたのかハッとして走って遠のいて行く。
今度は三那人のもとでしゃがんだ。
「三那人！！！三那人ッッ！」
肩を揺らしても反応はない。
息はあるがだいぶ荒い。
真人の術式は未知数で、放っておくと三那人の命が危ないかもしれなかった。
なにかしてくる様子はない。
虎杖が焦っているのを見て楽しんでいる。
「宿儺……宿儺ァ！！！」
虎杖の頬から口が現れる。
「なんだ？」
「なんでもする！！俺のことは好きにしていい！！
だから俺の心臓を治した時みたいに、三那人を治してくれ！！」
プライドなど全て捨て去って宿儺に必死に懇願する。
虎杖にはもう、これしかなかった。
＿＿「断る」
「ッテメェ！！」
愉快、と笑う宿儺の声に心底腹が立った。
「矜持も未来も！！
オマエの全てを捧げて俺に寄り縋ろうと！！
何も救えないとは！！
惨めだなぁ！！！この上なく惨めだぞ！！小僧！！！」
三那人を助けられない虎杖を見て、宿儺…真人も加わり、二人でゲラゲラと声を上げて笑った。
(…あぁそうかコイツらは
どこまでいっても
“呪い”なんだ)
だんだんと顔が青くなってきた三那人。
「あっもう死にそう？咄嗟だったからちょっと乱暴に形変えたんだよね、そろそろかな」
まだ笑った余韻が残る真人の顔を、全力で殴った。
階段の踊り場まで吹っ飛んでいく。
「残念、効かないよ。魂の形を保ってい＿」
魂の形を保てば、ダメージは無いはず。
だが、真人は鼻血を出した。
(…今まで俺の口から出た言葉は
全て嘘だったんじゃないかと思えるくらい
腹の底から出た本音)
「ブッ殺してやる」
「“祓う”の間違いだろ、呪術師」
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年5月14日 22時
