第48話 左腕 ページ1
順平の相手を悠仁に任せ、倒れた生徒たちの様子を確認することにした。
体育館を把握できるくらいの円を広げる。
誰も死んでいない。
壇上の男もボロボロだが生きている。
順平はまだ、
壇上で倒れている男は、順平の術式でやられた腕が痙攣していた。毒だろう。
二人が戦いに出て行ったのを見計らい、壇上に上がる。
解毒用の植物を出して経口摂取させた。
これでこれ以上毒が回ることはない。
先程から振動が伝わってくる。
(二人とも心配だ。早く向かおう)
体育館に限定していた円を学校全体まで広げ、二人を＿＿
「真人…！！」
悠仁、順平と共にある、真人の気配。
柄にもなく動揺する。
校内なだけあってそんなに距離はない。
間に合うだろうか。
＿＿＿＿＿＿
(馬鹿か俺は！！
つぎはぎ顔の人型呪霊！！
ナナミンが言ってたまんまじゃねーか！！)
虎杖は真人の肥大化した腕に押さえつけられ、体を動かせないでいた。
近くに立っている順平に目を向ける。
「逃げろ順平！！
コイツとどんな関係かは知らん！！
けど今は逃げてくれ！！頼む！！」
順平は真人を庇うように立った。
「虎杖君落ち着いて！！真人さんは悪い人じゃ＿」
真人が順平に近付き、虎杖を拘束したままその肩に手を置いた。
「順平はさ、まぁ頭はいいんだろうね。
でも熟慮は時に短慮以上の愚行を招くものさ。君ってその典型！！」
「順平から離れろッ！！！」
虎杖はなんとか抜け出そうとするも、力が強く動けない。
「順平って、君が馬鹿にしている人間のその次位には馬鹿だから」
真人が微かに呪力を発する。
まずい、と虎杖の本能が警鐘を鳴らしている。
「だから、死ぬんだよ＿」
＿＿「待てッ！」
横から割り込んできた木の幹が、真人に直撃した。
その拍子に真人の手が虎杖から離れ、解放される。
順平も離された。
それと同時に、三那人が倒れた。
＿＿＿＿＿
「君の気配に俺が気付かないと思った？」
「…っ？」
意識が遠のく。
倒れる直前に目に入った左腕が、人とは思えない奇妙な形に変形していた。
俺が向かってきていることに気付いた真人は、割り込まれる直前に手を伸ばしていたらしい。
順平にかけていた手を離し、俺に触れたのだ。
「＿＿ご、めん、悠仁」
(ちょっと、休憩かな)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年5月14日 22時
