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8話 ページ10

突然目の前に差し出された一本の黒ペン。

これもしかして、私に言ってるのか?



「え、あ、え??」

「あっ…やっぱり迷惑でしたよね…! すみません…」



勢いよく顔を上げて見ると、ぱっとしない感じでスーツにメガネのサラリーマン風の人。



あれ!?

い、伊地知さん……!?!?


まさか自分の横に立っていたのがネームドキャラクターだなんて思いもしない。


動揺する私を見て迷惑そうにしていると思ったのか、すぐこの場を離れようとする。

それをつい腕を掴んで引き止めた。



「えっあの…」

「ありがとうございます、これですね」



伊地知さんが先程手に持っていたペンを半ば強引に受け取って、感謝の意を込めて握手を交わす。


伊地知さんと握手しちった!


心の中でガッツポーズ。



「あ、いえっ! お役に立ててよかったです」

「はい本当に、選ぶの苦手で困ってたんですよ」



伊地知さんは、私が呪霊だということに気付いてない。

そんなんで大丈夫ですか補助監督……


少し伊地知さんが心配になったのと、ほんの少しの悪戯心。



「ていうか、あなたは私のこと見えるんですね」

「えっ…?」



意地悪風に言ってみると、伊地知さんの顔がみるみるうちに青くなっていく。

呪力に気付いたのか、そもそも会話できる呪霊が初めて…かな?



「ま、まさか…っ!」

「そのまさかだよ」



はははーっと笑って伊地知さんの背中をバシバシ叩くけど、伊地知さんは完全に震え上がって口をパクパクさせている。

少し遊びすぎたらしい、ちょっと可哀想になってきた。



「ごめんね、なんもしないからさ! ペンありがと!」



高専に連絡とかするのかな、なんて呑気に考えているけど、普通にそれまずいな。

でも会ってしまったものは仕方ないので、私は諦めて紙の売り場に向かった。



「紙はなんでもいいよね」



出来ればまとめられるものがいいと思い、ルーズリーフとファイルを手に取った。

お金のことはどうしようもないのでその三つを持って出入り口に向かう。

そのとき、後ろから肩を叩かれた。



「あ、あのっ…それ、お金とか…」



少し困った様子で、怯えながらも声を掛けてきたのは伊地知さん。

最初ほどではないと思うけど顔が真っ青だ。



「…それはめちゃくちゃ思うんだけど、私、店員さんに見えないからお会計出来なくて」

「じゃ、じゃあ、私が払うので…!」

「え、まじで?」

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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時

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