39話 ページ45
(五条視点)
はあ……
僕もまだまだってことか。
冷めた頭に思考が戻ってくる。
あまりにも簡単に敗北したことが悔しくて、そのやりきれなさをぶつけてしまった。
今まで生きてきて、プライドとかここまで傷付いたことなかった。
呪霊相手に気使うことないんだけどさ。
正直、コイツに敵意が無いことは分かってる。
足元に横たわる長身の女呪霊を横抱きにして、硝子のところに飛んだ。
「なんだ、勝ったのに体は残ってるのか？」
硝子は仕事を終わらせたところで、珍しく暇そうにしていた。
「いや、負けた。試合に勝って勝負に負けた…って言いたいけど、僕のボロ負け。コイツは気を失ってるだけで祓ったわけじゃない」
先の戦いについて語る気はないし、硝子も聞いてこない。
「一ヶ月寝たきりだってさ。僕は仕事で高専離れることが多いから、硝子が見ててくんない？」
硝子は反転術式を他人にかけられる貴重な呪術師で、大抵は高専で待機している。
「気を失ってるだけ？ 祓ってない？
五条、まさか呪霊を匿う気でいるのか？」
硝子は、僕がベッドに寝かせた呪霊の顔を軽く撫でた。
「いくら人間に近くてもコイツは呪いだ。
普段の君が勝てないなら、意識がない今のうちに祓ってしまえばいい」
「…いや」
僕は硝子の言葉に反対するように声を上げた。
「そりゃあ正論だよ。でもコイツは、なんか祓っちゃいけないような気がする。僕にも分からないんだけど」
この予感の明確な名前は分からない。
それでも何故か僕はコイツを祓う気にはならなかった。
良い予感なのか悪い予感なのかすら分からないけど。
「さっきまでコイツに人生で一番キレてたのに、変な話だけどさ」
「ふーん」
硝子は興味がなさそうにベッドから離れて、机の上の書類と向き合った。
「別に、君がそういうならいいんじゃない？ とはいえ私だって、四六時中見てられるワケじゃないよ」
「分かってるよ。でも一番適任なのが硝子しかいない」
「それは私も分かってる」
硝子は案外あっさりと了承してくれて、ほっと一息。
「上にはこのことが漏れないようにしとくから、後はよろしく」
「ああ」
僕が適当に口止めすればすぐ黙る。
簡単だよね。
このあとはなんとなく気が向いたから伊地知のとこに行く。
随分任務すっぽかしちゃったから、またなにか言われそうで面倒だよ全く。
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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (
レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません？？？お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…！ (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ！ (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります！ (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年11月15日 1時
