【呪術廻戦】呪霊に転生したらしい。【1】

38話 ページ44

「ふざけてないけど」



若干声が震えちゃったのは気にしないでほしい。



「チッ」



普通に返事をしたつもりなのにまた舌打ちされて情けない声が出そうになる。



「いやふざけてる。
…というか完全に舐めてるな。

本気で来いよ。手加減なんかしないでさあ」

「…」



本来五条を倒すには魂に干渉するしかない。

でもさっきはなぜか無限が発動していなかった。



「そっちこそ舐めてるんじゃないの？ 術式解い、て…

ぐッッ…う…ぅ！？」



何かがぶつかってきて、背後の大きな鳥居の柱に全身を打ち付けた。

五条は一歩も動いてない。
見えなかったが、小規模の『赫』か。


目の前に五条の拳が迫る。



「最初っから解いてねえよ」



ガスッ、と鈍い音。

頭を左に避けて、五条の拳を受けた鳥居が派手に破壊された。



「解いてない…？」



五条に壁ドンされてるみたいになったその姿勢のまま、片足を持ち上げて顔に蹴りを入れた。



「あれ？ マジだ…」



蹴りは無限に阻まれた。

触れられない。
五条の言葉を使うと、近付くほど遅くなっている。


逆に足を掴まれて放り投げられた。
受け身に失敗してまたコンクリに打ち付けられる。



「もう黙ってろよ」

「…(あ、やばい)」



五条は手の平を上にして、構えた右手を私に向けた。

あれは見たことがある。


術式順転『蒼』と
術式反転『赫』

二つの“無限”を衝突させて押し出された仮想の質量は、向けられた対象を消滅させる。



「虚式『茈』」



正しくは、消滅したかのように破壊の限りを尽くす。


視界が一瞬明るくなって、全てが消し飛んだ＿





＿かと思われた。



土煙の中、徐々に五条の姿が見えてくる。


…私も周囲もノーダメージ。
咄嗟に使った“不死身”の力で五条の呪術を無効化した。



「＿不老不死、不死身って言えば分かるよね。
有名どころだと、アキレウスとか八百比丘尼とか…

周りに気を配って森に向けてたみたいだけど、ついでに消しといた。

……これから、私は一ヶ月意識を失う。これを使った上での縛りかな？ 初めて使ったけど確信はある」



五条は鋭い目つきで私を見る。
また攻撃してこようとするが、何を思ったのか踏みとどまった。



「そんなの、オマエが倒れた瞬間殺すけど」

「分かってる。その間に祓われたって文句は言わないし言えない…残念だけど。それに、生き返る術式はまだ見つけてないから＿＿」



すべて言い切る前に、私の意識は落ちた。

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