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3話 ページ5

「ちょっ、待っ!」



なにも分からないのに戦えるわけもなく、狭い空間を逃げ回る。

戦闘経験なんてない。
ただの、一般的な陸上部の運動神経。


真人はハンモックの上から楽しそうに眺めていた。



「うッ……クソ……!」



改造人間の動きが止まることはない。

パンチが掠って頰に傷ができる。


手で拭ったら、紫色の血が広がった。

人外……



「いた……くないな」



痛覚が鈍く、何もしていないのに傷が勝手に治っていく。



「呪霊、便利じゃん…うわっ!」



感心している場合じゃない。
改造人間はどんどん攻撃を繰り出してくる。

真人はずっと見てるだけ。

私をいたぶって楽しいか?
そんな真人も好きだけど。



「し、しつこい!!」



一発くらい殴ってやろうと拳を突き出した。

前世でも人を殴ったことなんてなく、なんともお粗末なパンチだった。

それは改造人間の横っ面に当たったが、ダメージは無いように見える。


しかし、それだけではなかった。



「う、わ! なになに!」



パンチと共に風が起き、改造人間を無数に切り裂いた。



「それも君のかな?」



真人の言葉に改造人間の下を見ると、刻まれた改造人間が泥のようなものに沈んでいった。



「な、なに! なに!! 知らない!!」



手を伸ばそうとしたが、改造人間が沈みきったら勝手に消えていく泥。



「も、戻っちゃった…」



泥があった面影もなく、改造人間ごと元のコンクリートに戻ってしまった。


切り裂いた時点で息絶えていた。
オーバーキルだったろう。

自分の手を見るが、なんの痕跡も無い。


勝手に起こって勝手に消えた。



「な、なんだったの…」



もう何かが出てくる様子はない。


真人はハンモックから降りて私の手を握った。



「ひっ……近い」

「うーん、なんにも変化ないね。
…なんだろうな…術式が分からないなんて前例がないよ」



それは私も思った。
生得術式が分からないってことがありえるのか?



「泥と…鎌鼬?」

「鎌鼬……た、確かに。
まぁ私の起源はそのうち分かるだろうから…」

「そうだね! じゃあ改めて…」



片手を差し出される。

それを、緊張しながらも握り返した。

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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時

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