17話 ページ23
「くッ…」
ナナミンは私の手を受け取らず、近くの机に手を置いて立ち上がった。
割れたサングラスの隙間から見える目は私を睨み付けていて、おそらく術式を使おうとしている。
「ちょ、なんで!? 呪力カラカラで死んじゃうよ!」
喋っている途中で横から飛んできた特級呪霊を蹴飛ばす。
「やっぱりしぶと」
こんなんとエンカウント率堂々一位の伏黒かわいそう。
私も早く花御達に会いたい。
ナナミンはまだ武器を構えて私の動向をうかがっている。
先にこちらをなんとかしなければ。
ここは穏便に済ませたい。
「名前は?」
うっかり呼んでしまわないように、先に聞いておく。
ナナミンは警戒しつつも、ふぅ、と息を吐く。
真人のときのように、「答えるしかないか」とか考えていそうだ。
「…七海です」
「オッケーナナミンね!」
ナナミンと話している途中だというのに、また懲りずに飛びかかってくる呪霊が視界に入った。
「うざい!!」
気色悪い笑みを浮かべる特級呪霊に手の平を向ける。
このとき、なんとなく呪力が手に集まっている感じがして暖かい。
「“
一は足止めの氷結、二は雑魚用の拡散攻撃。
そして三は、コイツのような強い奴用。
「“雷神”」
あたりに黒い雲が立ちこめて、特級を包み込んだ。
私の手がピリッと光り、一瞬呪力が消滅する。
嵐の前の静けさ、というやつだ。
瞬間、轟音とともに雷が一閃。
すぐにナナミンを抱えて素早く理科室を脱出。
私達が出てすぐ、本当にコンマ数秒で、理科室の薬品を巻き込んだ爆発のような衝撃が廃校を襲った。
「思ったよりすごかったぜ…」
渦巻いていた雲に電気を走らせることで、ワンピースのナミみたいなことが出来るわけだ。
サンダーボルト=テンポだ。知らんけど。
呪霊の呪力は消えたので多分祓えたが、廃校が今にも崩れそうなのでナナミンを抱えたまま外に出る。
「ここまで来れば大丈夫かな?」
安心したところで、何かが落ちる音がした。
「おっ…」
私の右腕だった。
痛みはない。
「あのような行動をした理由を聞くほど暇ではないので、手早く済ませましょう」
「これからお昼ごはんかな?」
「そうです」
ぐにぐにと生えてくる腕を見た後、ナナミンと向かい合った。
1494人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時