16話 ページ22
「やだ〜雰囲気ある…」
思いの外禍々しい呪力を感じる廃校を目の前にして、私は立ち尽くしていた。
時刻は昼過ぎで明るいが、写真で見るより不気味でおどろおどろしい。
「こっわ」
ずっと立ってても仕方がないと、術式を使う準備をしてから足を踏み入れた。
下駄箱の木の板を踏んで軋む音で驚く。
こんなことでビクビクしてちゃ戦えないぞと苦笑いして、呪いの気配を辿った。
「なんか…結構強くない？」
到底低級とは思えない呪力量だ。
一箇所目から当たりかな。
たどり着いたのは理科室で、入った途端強く薬品のにおい。
『つつつギぃのお じュぎょおヴはあ』
「おえ、キモッ」
呪力は通常のようだが、皮膚の表面が溶けていて異臭を放っている。
そんなに強くもなく、私の呪力を飛ばすだけで祓えた。
「じゃあ、この気配の主は…」
瞬間、背後に殺気を感じて振り向いた。
大きな音と共に、呪力の主ではない何かが壁を突き破ってこちらに飛んでくるので、咄嗟に受け止める。
それは私から退くとすぐに武器を構えた。
「なッ…もう一体…！？」
金髪長身、独特な眼鏡に鉈、聞き馴染みありすぎる声。
「(え、あ、な、なっ、ナナミンだ…！？)」
「労働はクソ」で有名な(？)脱サラ呪術師、七海建人だった。
絶賛戦闘中のようで、頭から血を流している。
それに左腕も力なく垂れていて痛々しい。
おそらく骨折しているのだろう。
一級術師の彼にここまでの怪我を負わせるとなると…
「ッッ…しまっ」
そのイケボによって意識を現実に戻される。
ナナミンが飛んできた壁から、また何かが勢いよく飛んできた。
それこそがここの大きな呪力の正体、特級呪霊だった。
ナナミンはコイツと戦っていたのだ。
「おっ」
私には目もくれずナナミンに飛びかかるので、その呪霊をとりあえずぶん殴ってみる。
効いたのかは定かではないが、理科室の薬品棚まで吹き飛んだ。
「かっっったすぎ！！」
イテテ、と呪霊を殴った右手を擦る。痛くないが。
真人との模擬戦、術式も分からない初めの頃は体術ばかりやっていたので、一応心得はある。
「……呪霊が呪霊を…」
「あ、大丈夫だった？」
ナナミンは当然私が呪霊を攻撃したことに驚いている。
でも当初からこれが私の目的だし、今更変える気もなければナナミンと戦う気もない。絶対。
風圧に押されたのか、尻餅をついていたナナミンに手を差し出した。
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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (
レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません？？？お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…！ (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ！ (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります！ (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年11月15日 1時
