13話 -呪術高専- ページ19
「調子はどう?」
「良好!」
慣れ親しんだ地下トンネルで自主練中、朝から不在だった真人が帰ってきた。
手にはなにやら分厚い本。
盗ってきたんだろう。
あー、慣れてしまったものだ。
「これ、Aにあげる」
「うわっ…と、分厚い本は時に凶器になり得るんだよ!」
前触れなく投げ渡され、咄嗟に両手で受け止めた。
ずっしりと腕にかかる重量感。
持ってられないので地べたに座った。
表紙を見ると、「日本妖怪全集」の文字。
「これって…」
アニメで真人が読んでいた本だ。
ペラペラめくると、様々な妖怪の説明が載っている。
「つまるところ妖怪図鑑だよ。今まではAの知識だけだったから、どうせならいろんな種類のものを知っていたほうが術式の解釈も広がると思って」
「おー、いいかも。ありがとう真人」
いずれは都市伝説や心霊現象なども知識を深めたほうが良さそうだ。
ペラ、とページを捲り、目に入ったものがひとつ。
「お、九尾の狐」
瞬間、臀部の上あたりの違和感と共に九つの尻尾がブワッと広がった。
鮮やかな橙色で先端が白い、九つあること以外は普通の狐の尾だ。
「うわ、手触り良っ」
自分で自分の尾に触れて、その毛並みを堪能する。
使い慣らしていけば触手のように自由に動かせそうだ。
まだ解像度が低いためか、尻尾に感覚は無い。
「俺も触るー!!」
真人は、手触り抜群でボリューミーな九つの尾に飛び込んだ。
「あっはは!! すごいな、Aの匂いがするよ」
「吸うな」
長い時を過ごした結果、今や真人は推しというより友達のような感覚になっているので、そこまで動揺はしなかった。
でも好き。
「このまま寝そうだよ」
「そこで寝ないでね」
ぐっと力を入れると、根元に吸い込まれるように尻尾が消えていった。
地面に落ちた真人は残念そうにするが、私は布団じゃない。
「他にもいろいろ出来そうだけど、広く浅くにならないように一つずつやっていこうと思う」
「量より質だね」
「それそれ」
今の九尾の狐のような、やってみただけの量産型能力を増やしても意味がない。
もっと呪霊としての技能を身につけなければならない。
「とか言うけどさ。A、今でもだいぶ強いと思うよ? 最近は俺の負けが続いてる」
壁に貼られた紙を指差した。
「それはそうだけどね」
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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時