12話 ページ17
時は飛んで12月31日。
人間達は年明けだなんだと騒いでいるが、私と真人は模擬戦を行っていた。
場所は変わらずトンネル。
幾度となく行われ、日課ともなった模擬戦によっていたるところが崩れ、トンネル内は既にボロボロになっている。
「よそ見なんかするなよ！！」
そう言って振りかざされた真人の変形した腕を避け、そちらに手をかざした。
「“
「やばっ」
足を馬のように変形させて避けようとする真人の足元を泥に変え、身動きが取れないようにする。
手は真人にかざしたまま。
「“氷結”」
「がッ…」
ピキ、と音を立てて完全に沈黙した。
出来上がった氷の像は不気味なまでに美しい。
しかしまだ勝負は終わっていない。
私は凍った真人に近寄って、足を振り上げた。
「よい…しょっ！」
脳天にかかと落としが決まって、高い音と共に砕け散った。
泥ごと凍った真人は粉々になり、地面に散らばっている。
ただそれは、ものの数秒でぐにぐにと形を変えた。
「も〜！！ これやられると戻るの大変なんだから！ こないだやめてって言ったじゃん！」
「はい、今日は私の勝ちね」
壁に貼られた紙には、いままでの戦歴が書かれている。
そこに新たに書き足した。
「ねえ。今更なんだけどさ、なんだっけ、あや……」
「あやかしのじゅつ」
「そうそれ。それの“氷結”さあ、凍らせるだけなら“雪女”使うだけでいいんじゃない？」
…うん。
真人の言うとおり確かに凍らせているだけだが、ちょっと違う。
「私の“雪女”で……凍らせるだけならこうだね」
立ち上がる真人の腕に息を吹きかけた。
たちまちパキパキと凍っていく。
「あぁなるほど、表層だけだ」
それは手をグーパーするだけで簡単に剥がれた。
「極めれば可能性はあるかもしれないけど、今はまだ術を使わないと完全に凍結出来ないんだよね。“氷結”は、体の内側から凍らせる技だよ」
「怖いなぁ」
「真人は死なないんだからいいでしょ」
魂に干渉しているわけではないから、無為転変で簡単に元通りになる。
ただ少し見た目がえげつないだけ。
直接の物理攻撃が効かないんだから、“泥田坊”や“雪女”で拘束、破壊するしかない。
それが、この数日で学んだ一番手っ取り早く勝つ方法だ。
「死なないって言ってもびっくりするんだよ」
「それはお互い様でしょ」
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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (
レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません？？？お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…！ (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ！ (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります！ (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年11月15日 1時
