幕間�� ページ15
なにもしないから、と笑みを浮かべて背中をバシバシ叩かれる。
私は情けない話、体が硬直していた。
呪霊が私のもとを離れた後、すぐに携帯を取り出して五条さんの番号にかける。
「ご、五条さん！ 呪霊…人語を介す呪霊と接触しましたっ」
騒がしい心臓を無視して、手短に伝える。
「《よく生きてたね。ソイツの目的は？ なんか言ってた？》」
「いえ、筆記具を買いにきただけのようで、敵意のようなものはあまり…」
あの呪霊にその気があれば、私は今頃生きていないはずだ。
「《買いにきたって…呪霊は買い物できないでしょ、非術師には見えないんだから》」
そう言われてから気が付いた。
店員の視界に映らないのだから、お金を払うことは出来ない。
「《んー、暴れたりもしてないか……おもしろ。
敵意がないならさ、伊地知、代わりに買ってあげなよ。万引きは見逃しちゃだめでしょ？》」
「えっそれは…そうですけど…」
「《いいから早く！》」
「うっ」
電話越しのはずなのに、五条さんがそこにいる気がしてならなかった。
尻を叩かれるように呪霊が向かったほうに足を進めた。
殺されたら五条さんを呪ってやると柄にもないことを思いながら、呪霊に声をかけた。
その呪霊も、店員に見えていないことを自覚していた。
私の提案により、私が呪霊の分も会計を済ませ、店の外で手渡す。
「ありがたいけど、呪術師関係の人でしょ？ 呪いにこんなことしてもいいの？」
呪いが人間の心配なんてすることもあるのか、なんて呑気に思いつつ、上司の指示だということを伝えた。
これ以上一緒にいて何をされるか分からないので車に向かおうとするが、またしても阻まれた。
私の前に携帯が差し出される。
「携帯…誰のですか？」
「私のだよ。生まれたときから持ってたの。
連絡先交換しよー！」
声を出して驚いた。
契約だとか料金だとか色々と気になることはあるが、ひとまず五条さんの指示を仰ぐことにした。
メッセージを起動して、タタタタ、と打ち込む。
『呪霊が連絡先の交換を求めています。どうしますか？』
五条さんはずっと動向をうかがっていたのか、すぐに返ってきた。
『交換しちゃいなよ、あとで僕も入れるから』
『わかりました』
指示通り連絡先を交換し、LINEも追加した。
画面に表示される「AA」の文字。
固有名詞がある呪いも初めてで、驚くことばかりだった。
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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (
レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません？？？お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…！ (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ！ (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります！ (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2021年11月15日 1時
