【呪術廻戦】呪霊に転生したらしい。【1】

31話 ページ37

「夏油、今どんな感じ？ 生きてて楽しい？」

「それはディスか…？

…私は私の目的を成し遂げるまで、それに向かって進むよ。この足は誰にも止められない。もちろん君にもだ」



夏油は細い目を更に細めて私を、否。
私を通り抜けてどこか遠くを見つめていた。

それがどんな感情なのかは私には知り得ないけど、少なくとも私は夏油に死んでほしくない。

でも羂索推しの私にとってはどちらかを選ぶほか無いわけで。


パッと両手を上げた。



「そっか。別に止めないよ。
私はなにも知らない、ぽっと出の呪いだからな」



踵を返して入ってきた扉に手をかけた。



「会えて嬉しかった。またどこかで会ったら、そのときはよろしくね」



次会うときは運命の分かれ目。

ここから百鬼夜行まで会う気は無い(多分会う)。

12月24日…
これ以上親しくすると情がわいてしまう。


今でも情が無いわけじゃないし、死なせたくないし、死んでも遺体をちゃんと処理してあげたいって思うけど。

そうすると原作、羂索が率いる偽夏油一派…漏瑚や花御、陀艮だってどうなるか分からない。



「じゃ」



扉を開けて、一歩外に出た。
いつのまにか暗くなっていた。

扉を閉め切る直前、夏油の声が聞こえた。



「私のファンなら、私に取り込まれるのは嫌かな？」

「遠慮しとくわ」



そう返して扉を閉めた。



「はぁ」



勝手に口から漏れるため息に気付かないフリをして、寺から少し離れた場所で青龍を喚び出した。

綺麗な青い龍の背中に乗って、飛ぶ。



「行きは朱雀に頑張ってもらったから、帰りはよろしくね。あ、でものんびりでいいよ。急いでない」



青龍は反応しないが、私の声は届いている。

自転車に乗ったときくらいの風を受けてゆっくりと帰路に着いた。


しかし夏油も真人も、なんたる顔と声の良いことか。

この世界、私の世界にあった漫画も映画もあるんだけど、同じ声優さんの声に関してはどういう扱いなんだろう。


私が知る限り真人も夏油も、五条も家入さんもナナミンも…まぁその他諸々の声優さん、ちゃんとこの世界に存在している。

「呪術廻戦」の存在だけは完全に消し去られてるけど、ただ声が似ているだけっていう認識なのかな。


そういうのって転生モノで一番気になるとこ。私だけ？



「ここが前世にあった呪術の世界だとして…」



だとしたら、私の声優は誰なんだろうね。

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