第四十二話 ページ44
「すみません 先生」
少し休んで落ち着いた私は、カンゴームの付き添いありで先生のもとへ来た。
また教卓前に立ってお話。
「二人とも 無事でよかった」
相変わらずの大きな愛で包み込んでくる。
先生は私とカンゴームを交互に見る。
「相性がいいようだな」
「どこが！」
カンゴームが即答で否定した。
やはり嫌われているのだろうか。
………………
次の日。
万全ではない私はしばらく流氷割りを禁じられた。
ここから何があるのか分からないので、できればカンゴームと行動を共にしたいのだがしょうがない。
やたらめったに原作が変わるわけでもないだろうとたかをくくった。
というわけで、流氷割り以外の日常業務をこなす。
ひとまずシャベル片手に屋根の上に登った。
見晴らしがいい。
あたり一面が真っ白の世界。
元の世界ではあまり見られる光景ではない。
身体能力と共に底上げした視力であたりを見回すと、流氷割りに徹するカンゴームを見つける。
とびはねていて面白い。
屋根の上をおろして、落ちた雪とともに下の雪かきもする。
とても重たい。
なんとなく、小さい雪だるまを作って医務室あたりに置いておいた。
………………
その夜。
カンゴームが私の部屋までやってきた。
「おまえ」
ベッドに腰かける私と、椅子に座るカンゴーム。
ちょうど月明かりに照らされるカンゴームの半透明の髪が床に反射する。
腕を組んでこちらを見ている。
睨まれている気がするが気にしない。
「俺を助けたとき 俺に触れたろ」
助けたときというのは、引っ張り上げたときのことだろう。
カンゴームは手を開いたり閉じたりしながら顔をしかめる。
「おまえ 柔らかいんだな」
再び腕を組み、今度は足も組んで私を睨んでくる。
いや、目付きが悪いだけだろうか。
「そうだね」
私が柔らかいというより宝石たちが硬いだけなのだが。
それから、カンゴームに触れても流氷に頭をぶつけても割れなかったことを指摘してくる。
私のことを怪しんでいる。
「そもそもおまえの硬度を知らん」
「おまえは なんだ」
宝石じゃないだろ、と訝しげに聞いてくる。
出血の件でルチルにも聞かれたことだ。
仕方ない、と頭を掻いて、私の話をする。
“人間”の話は除いて。
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翡翠(プロフ) - おうるさん» コメントありがとうございます。更新が遅くて申し訳ないです…。励みになります。 (2019年11月19日 19時) (
レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
おうる(プロフ) - めっっっっちゃこの作品好きです!!!!!更新頑張ってください!!(*^^*) (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3d90f48b0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年8月14日 2時
