第三十三話 ページ35
仕事だと意気込んで廊下を歩いていると、フォスと白粉を塗ったカンゴームが歩いていた。
「白粉塗ったんだね」
そう話しかけるとカンゴームがカパ、と口を開けた。
粉があたりを覆う。
「え」
「なにそれどういう意味？」
「怒ってんの？」
フォスが戸惑っているが、これはルチルが眠たくてカンゴームに白粉を被せたせいだ。
粉っぽくてむせた。
ぱっぱっと手で粉をどかすと二人組が目に入る。
「白粉塗ったか」
「ペリドット スフェン」
オリーブグリーンの短髪がペリドット。
茶色とも黄色とも緑ともとれる変わった色の三つ編みがスフェン。
二人はカンゴームを見ると、それぞれ感想を述べた。
「いいかんじだ」
「じつに」
「そっすか 工芸のにいさん方」
工芸、というのもペリドットは紙製作、スフェンは工芸意匠を担当している。
なんて話しているうちに工芸二人組が目を閉じて停止した。
「ねるな」
度重なる冬眠の延期で宝石たちはかなり限界のようだ。
スフェンがふらつくので片手で支える。
「今日三人はどこの担当かな？」
「白の丘だよ」
「私はてきとうに」
一人行動で宝石じゃないため月人も現れない私は、基本的に担当区域が決められていない。
そんなこんなで先のメンバーにメロンとヘミモルが加わり、担当区域に向かうことになった。
「ふえ〜 ねむ〜」
「こんなに雪が遅いのは千年ぶりだ」
「五人はまだ生まれてないな」
そしてそのときは仕方なく若い順に寝ていったそうだ。
私が最初だな。
「じゃ 僕二番目に寝れる」
「その前の冬眠延期のとき」
「二人はもう組んでたの？」
ヘミモルが、前を歩くスフェンとペリドットに聞いた。
「私はそのときブルーゾイサイトと」
「俺はトパーズと組んでたんだよ」
触れてはならないことを聞いたとヘミモルが咄嗟に謝った。
しかし、二人は気にする様子はなく笑みを浮かべる。
すこし凍りついている植物を手に取り、ペリドットが話しはじめる。
「不思議なもんでね」
「思い出す時間がすこしずつ減ってくるんだ」
「それが間違っていることのような気がして」
「先生に訊きにいったら」
『僕は薄情でしょうか』
『心情や物事は決着がつく方が稀で』
『完全で最終的な決着がつくことを』
『奇跡という』
『悲しむのも 忘れるのも』
『自然でいなさい』
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翡翠(プロフ) - おうるさん» コメントありがとうございます。更新が遅くて申し訳ないです…。励みになります。 (2019年11月19日 19時) (
レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
おうる(プロフ) - めっっっっちゃこの作品好きです!!!!!更新頑張ってください!!(*^^*) (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3d90f48b0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年8月14日 2時
