第十三話 ページ15
「流氷がしゃべった」
「ああ しゃべる」
「先生が仰るには 流氷も私たちと同じ」
「鉱物だから かすかに分かるそうだ」
「苦しい つらい 帰りたい」
「ってはっきり聞こえ…」
………………
フォスがどうやら限界らしく、私も先生のところへ戻ることになった。
アンタークによると、フォスには流氷の言葉がはっきりと聞こえるらしい。
私も耳を傾けてみたが、もとより宝石ではないためなにも聞こえなかった。
「流氷は意思を持っているわけではない」
「だが」
「見る者の不安を反射して」
「増幅させる性質を持つ」
そう話す先生は、少し私を見て、
「……古代生物の
人間…古代生物である私に気を使ったのだろうか。
「彼らはどうだ」
先生がもう一度私に目をやり、アンタークに問う。
「彼は いろいろな日常業務を試しましたが」
「どれも正確にこなしています」
「今は 流氷割りをやらせています」
「そうか」
「フォスは 思ったよりついてきています」
「叶わぬことですが」
「脚力ほどの腕力があればと」
「願わずにはいられません」
誉められるのは、嬉しいもので。
アンタークも言ったように、掃除、除雪、雪降ろしなど様々な日常業務をやった。
どれも別段難しいものではなく、失敗することもなかった。
…一方でフォスを見ると、何か考えこむような表情をしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠(プロフ) - おうるさん» コメントありがとうございます。更新が遅くて申し訳ないです…。励みになります。 (2019年11月19日 19時) (
レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
おうる(プロフ) - めっっっっちゃこの作品好きです!!!!!更新頑張ってください!!(*^^*) (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3d90f48b0e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翡翠 | 作成日時：2019年8月14日 2時
