第9話 ページ9
「は....?」
呪術師はみんなイカれている。常識なんか一切通じない。
...そう、分かってたのに。
今の伏黒の言葉はものすごく衝撃的だった。
...心のどこかで、同期のみんなはいい子なんだって思ってたのかもしれない。
「Aがもし本当に喘息だったらその時はその時。
...むしろ、お前が俺のせいで死ぬなら嬉しいくらいだ。」
「...私のこと嫌いなの?」
「....逆だ。好きだからこそ、死ぬ時は俺のことだけを考えて死んでほしい。
俺自身がお前を殺すことによってそれが叶うなら、それもいいかもしれないってことだ。」
「......だいぶひん曲がってるね。」
「....そうかもしれないな。」
伏黒は早く認めろというふうに薬をゆらゆらと揺らしている。
.....ああ、駄目だ。もう抑えきれない。
薬を飲む時間が過ぎた上に、伏黒に煽られまくってしまった。
......もう、いいか。言ってしまっても。
「.....そうだよ。この薬は喘息の薬じゃない。
世間一般的に言う、”麻薬”ってやつだ。」
「私の場合、ハイテンションになる為に使ってるわけじゃないけどね。
自分の心の中にある、生きていく上で邪魔な感情を抑えるために使ってる。
....だから、この薬を麻薬って呼ばれるのはちょっと好きじゃないかな。」
「.....その邪魔な感情ってなんだ?わざわざ抑えなきゃいけない程のものなのかよ。」
「......今は薬が切れかけてて、私を抑えるものがないから特別に教えてあげる。
........私、本当は伊吹家の当主になりたいんだよね。」
「伊吹家の、当主に...?」
「うん。私の家族たちは護衛兼側近とかって言って私を納得させようとしてるけど、
本当は護衛兼側近じゃなくてただの”身代わり”なんだよね。
みんな私が使えないことを知ってるからさ、妹と一緒に任務について行って、
妹が危なくなったときに代わりに攻撃を受ける”身代わり”としてなら
私を使えると思ったらしいの。」
「...私はそんな人生歩みたくない。強い呪術師になって人を救いたい。...でも、」
「こんな弱い私を必要としてくれたのが嬉しいと思ってしまった。
...それがたとえ身代わりだったとしてもね。」
「強い呪術師になんてなれないって諦めてる自分がいたから、
必要とされてる生き方をしたほうがマシなんじゃないかって思った。」
「...だから」
「強い呪術師になりたいっていう感情を抑えて、従順に生きていくことにしたんだ。」
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吹雪 - 愛のちからってすごいんだなって思いました。少しずつ薬じゃなくて伏黒に頼っていく…最高ですね!大好きです!完結おめでとうございます! (2022年8月21日 11時) (レス) @page50 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
莉愛(プロフ) - めっちゃめちゃ良い作品で泣きそうになりました最後ほんとによかったです...!他の作品も(?)応援してます〜〜!! (2022年6月28日 19時) (レス) @page50 id: ce9925ebbb (このIDを非表示/違反報告)
ccctp(プロフ) - この展開待ってました!!面白いです (2022年1月9日 19時) (レス) @page17 id: 16646bc3ba (このIDを非表示/違反報告)
ガラシャ(プロフ) - 面白いです更新頑張って下さい❗️ (2022年1月5日 1時) (レス) @page14 id: 195258dcbf (このIDを非表示/違反報告)
ccctp(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2021年12月31日 14時) (レス) @page7 id: 16646bc3ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2021年12月30日 21時