第44話 ページ44
まず、周りをよく見る。
なにか障害物になりそうなものはないか、はたまた利用できそうなものはないか。
伊吹家にいた時に教わった知識が、今ここで役に立っている。
あいつらに教わったことを使うなんて胸糞悪いけど、今そんなことはどうだっていい。
というか、正直逆なんだと思う。
薬を吸った時のように、どうやら私はとても高揚しているようだ。
「目に物見せてやる。弱いとでも雑魚とでも言ってみれば良い。
...必ず私は、お前を倒してみせるから。」
Aは今、伏黒の命を握っている。
伏黒の運命を変えるのはA自身であり、彼女の些細な行動で伏黒の生死は決まってしまう。
普通の人だったら、投げ出してしまいたいほどの不安と恐怖に苛まれるだろう。
...だが、彼女は違った。
伏黒に信頼され、弱いと言われ続けてきた術式に命を懸けてもらえているのは、
Aにとっての救いであり光だった。
そう。絶体絶命のこの状況も、伏黒を愛している彼女にとっては―――
「領域展開！！」
大きく成長するための
「領域展開...！？お前、そんなの使えるのか...！？」
今置かれている状況の良さにAの成長を加味しても、
彼女が領域展開を使えるとは到底思えない。
彼女がいくら成長したとしても、呪力量が増えたとしても、才能があるというわけではないのだ。
つまりこの領域展開は不完全中の不完全であり、いつ終わってしまっても不思議ではない。
持つとしても17秒が限界といったところだろう。
しかしAにとってその17秒は、決して短いものでは無かった。
「...一発、一発でいいから、正確で重いのを当てられれば.....」
普段使うことの少ない頭をフル回転させ、Aはぶつぶつと何かを呟いている。
その状態で経過した時間は15秒。
領域展開が終わってしまうまで、あと2秒しか無い。
領域展開が終われば彼女は力尽きる。
そして、その時にまだ呪霊を倒せていなかったら―――
彼女はあっけなく死ぬだろう。
「このままじゃ領域展開が終わる！そしたら、お前は―――！「うるさい！！」
「...っ！」
「あと少し。もう少し。抑えて、溜めて.....」
あと0.1秒もすれば領域展開が終わってしまうというその時、
「....ここ！」
Aは全ての呪力を注ぎ込み、首元に攻撃を当てた。
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吹雪 - 愛のちからってすごいんだなって思いました。少しずつ薬じゃなくて伏黒に頼っていく…最高ですね！大好きです！完結おめでとうございます！ (2022年8月21日 11時) (
レス) @page50 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
莉愛(プロフ) - めっちゃめちゃ良い作品で泣きそうになりました最後ほんとによかったです...！他の作品も（？）応援してます〜〜！！ (2022年6月28日 19時) (レス) @page50 id: ce9925ebbb (このIDを非表示/違反報告)
ccctp(プロフ) - この展開待ってました！！面白いです (2022年1月9日 19時) (レス) @page17 id: 16646bc3ba (このIDを非表示/違反報告)
ガラシャ(プロフ) - 面白いです更新頑張って下さい❗️ (2022年1月5日 1時) (レス) @page14 id: 195258dcbf (このIDを非表示/違反報告)
ccctp(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2021年12月31日 14時) (レス) @page7 id: 16646bc3ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碓氷エマ
| 作成日時：2021年12月30日 21時
