吸って、吐いて、縋る。【伏黒恵】

第37話 ページ37

『...それもある。でも1番は、私が当主になって伊吹家を変えたいかな。

護衛兼側近とかいうネジの外れたルールをやめて、一人一人に可能性を与えたい。

お前らが捨てた伊吹Aはちゃんと戦えるんだってことを分からせたい。』


Aが伏黒に吐き捨てた言葉が思い出される。


...確かに前までは当主になりたいだの強くなりたいだの伊吹家をぶっ壊したいだのしか

言ってなかったが、今回の出来事を通して目標をちゃんと見ることが出来ている気がする。



「Aは多分、思い違いをしてるんだ。

様々な感情が入り混じりすぎて、自分が本当にしたいことが見えてない。」


「だからそれに気づいてもらうために、僕はAと家族を会わせたんだよ。」


「Aが本当にしたいこと、ってなんですか？」


「そりゃあ僕にも分かんないよ。でも、思い違いをしてるのは確かだ。

Aは人に流されやすいところがある。

同じ境地に立ってる真希と同じことをしたくなっちゃうんだ。」


「それにAは今回、家族と会ったおかげで呪力量が増えて呪霊を何気なく祓えてる。

あの呪霊は2級相当だったから、Aは大幅な進歩を遂げたということだ。

だから恵きゅん。今回のことは見逃してくれないかな〜？」



Aが、2級相当の呪霊を何気なく祓った...！？


そんなの全然知らなかった。...でも、それなら確かに意味のあることだったのかもしれない。



「なあ伏黒〜、その話終わったらちょっとこっち来てくんない？」


「ほら、悠仁が呼んでるよ？早く行ってやりなって」


「.....Aが成長したのは良かったと思います。

でも、Aに苦しい思いさせたのは許してないですからね。」


「...相変わらずAに過保護だねー。」

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