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第33話 ページ33

「...体調大丈夫ですか?顔色悪そうですけど...」


「....だいじょうぶ、です。ご心配ありがとうございます。」



すぐさま任務を終えて補助監督の元へ帰ってきたAは、

顔を真っ青にして車に横たわっていた。


最近は伏黒のおかげで薬が欲しくなり体調が悪くなることは少なかったが、

このような緊急事態は例外。


家族への嫌悪感や拒否する気持ちを薬で抑えていたため、

直接会ったりして家族に触れるとこうして薬が欲しくなってしまうのだ。


生憎今回与えられた任務の場所は高専から遠く、少なくとも後30分は高専に戻れないらしい。



「はぁっ、はぁっ...補助監督さん、車の速度をもうちょっと上げることって...」


「...お役に立てずすみません。法律に乗っ取ると、これが最高速度なんです....」


「そう、ですよね。無茶言ってすみません....っ、」



Aは震えた手でカバンからスマホを取り出し、電話帳を開く。


一度伏黒からスマホを奪われた事もあったが、

薬が買えるサイトをブロックされる代わりに返してもらったのだった。



「...もしもし、伏黒...?」


「A?どうしたんだ?」


「...ヤバい、死にそう、かもしれない。」


「し、死にそう!?今任務中なのか!?」


「ち、がう。色々あって薬の発作が来てる、の...そろそろ、理性がぶち壊れそう...っ。」


「...一旦落ち着け。深呼吸だ。俺はずっとお前と電話繋いどくから安心しろ。」


「ありがと......」


「車は?あと何分で着きそうなんだ?」


「30分はかかる、って。」


「30分か.....分かった。お前は強いから、それくらいは耐えられるよな?

高専に着いたら俺が真っ先に迎えに行くから。」


「.....うん、がんば、る。」



Aの声が震えているのが分かる。


自分が取り乱しちゃ意味がないと思い、伏黒は冷静に対処した。



「...ほら、そうこう言う内に10分も経ってる。あと20分だ。」


「...........うん。」


「...A?大丈夫か?」


「............」


「......おい、A?聞こえてるなら返事してくれ。」


「...........」


「....!A!」



Aの荒い息だけが響き渡る。


電話越しで何もすることが出来ない伏黒は、ただそれを聞くことしか出来なかった。

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設定タグ:呪術廻戦 , 伏黒恵   
作品ジャンル:アニメ
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吹雪 - 愛のちからってすごいんだなって思いました。少しずつ薬じゃなくて伏黒に頼っていく…最高ですね!大好きです!完結おめでとうございます! (2022年8月21日 11時) (レス) @page50 id: ad117a8b13 (このIDを非表示/違反報告)
莉愛(プロフ) - めっちゃめちゃ良い作品で泣きそうになりました最後ほんとによかったです...!他の作品も(?)応援してます〜〜!! (2022年6月28日 19時) (レス) @page50 id: ce9925ebbb (このIDを非表示/違反報告)
ccctp(プロフ) - この展開待ってました!!面白いです (2022年1月9日 19時) (レス) @page17 id: 16646bc3ba (このIDを非表示/違反報告)
ガラシャ(プロフ) - 面白いです更新頑張って下さい❗️ (2022年1月5日 1時) (レス) @page14 id: 195258dcbf (このIDを非表示/違反報告)
ccctp(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2021年12月31日 14時) (レス) @page7 id: 16646bc3ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2021年12月30日 21時

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