主従関係【乙骨憂太】

説教 ページ35

「ん....今何時だ....」





目を擦り目の前にある時計を見る。



あのまま憂太に医務室へと連れて行かれ、私は今こうして医務室で起床した。



時間的に、ざっと2時間強寝たってことかな。





「Aちゃん。おはよう」



「え、憂太。いたの？」



「いたよ。ずっとここに」





ぼーっとしていて気づかなかったみたいだ。



少し寝たとはいえ、まだ寝不足の症状は完全には改善されていないらしい。





「どう？元気になった？」



「うん、結構いい感じ。2時間だけでも寝るのって重要なんだね」



「....2時間？26時間の間違いじゃなくて？」



「....ん？」



「いや、日付見てみなよ」





すかさずスマホを開く。



えっと、確か今日は7日のはずなんだけど....




....え、8日になってる。





「嘘でしょ....？私1日丸々寝てた....？」



「1回も起きなかったね。反転術式の影響もあるのかな」



「え、待って。ずっとここにいたって言ってたけどさ、それって....」



「うん。昨日からだね」





ごめん、本当にごめん....と頭を深々と下げる。





「でも、どうして？」



「どうしてって....いくら治したとはいえ傷だらけだったんだから心配するでしょ」



「今日入ってる任務、代わりに僕が出るって言っといたから。その代わり安静にしてて」



「いやいや私が出るって！

そんな迷惑かけられないよ、だって私は「だって私は生かされてる身だから、って？」



「....はぁ....」





大きなため息をつかれる。



こんなに失望したような表情を向けられたのは初めてかもしれない。





「君はいっつもそうだよね。自分は自分はって下げてさ」



「....僕の言うこと、聞けない？安静にしろって言ってるの」





ぐいっと顎を上に上げられて、ばっちりと目が合う。



雰囲気はすごく怖い、はずなのに。



何故か、所々優しさを感じる。





「もう昨日みたいな馬鹿な真似はやめて。次不注意で怪我しても治してあげないから」





私が言えたセリフじゃないのは分かっているけど。



こうは言っても、どうせ憂太は何があっても私を治そうとしてくれるんだろうな、

なんて思ってしまった。

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