主従関係【乙骨憂太】

見方 ページ30

「....！？そ、それはどういう....」





....女の子として見てるってなんだ？



憂太が私を救ったのは、弱みを握っているからこそ好きに扱える存在だからなのに。




そんな言葉、言われるなんて思ってもみなかった。





「....さあ？どういう意味だろうね」



「....っ、なんで答えてくれないの....」



「だって僕には答える義理なんてないもん」



「なんせ僕とAちゃんは主従関係だからね。ご主人様の言うことは絶対、でしょ？」





ほら、こういう時だけいっちょ前にこんなことを言ってくる。



それならずっとその姿勢でいればいいじゃないか。



変に優しくされたりすると、こっちとしても気が狂う。





「....はいはい、ご主人様。早く高専帰らなきゃ日が暮れますよ」



「敬語普通に心にくるからやめて」



「そっちがご主人様ムーブ出してきたくせに？」





憂太の手はいつの間にか私の手を握るのをやめていた。



....なんだか少し悲しい気分になった自分の心情がよくわからない。





「はぁー、とにかく。

僕の命令には従ってもらうけど、同期の仲間であることに変わりはないから。分かった？」



「分かってる。それ何回も言われた」



「何回言ってもすぐ自分を下げようとするから言ってるの」



「だって仕方ないじゃん....寧ろこれでもだいぶラフに接してるつもりだよ？

普通私達の関係性だったら、常に敬語であるべきだしわがままなんて言っちゃいけないし....」



「そこらへんは頑張ってよ。なんかこう、上手く忘れて友達のように接する的な」



「だいぶ難しいこと言うね....」





まあ、その考え方に救われてると言ったらそれはそうなんだけど。



だから真希たちとも仲良くなれたし、憂太にもなりふり構わず好きなことを言えている。





「....あれ、もしかしてまだ手繋いでいたかった？」



「....え？」



「....それ無意識でやってるならだいぶ可愛いよ」





憂太に言われて自分の手を見てみたら、確かに憂太の袖をきゅっと掴んでいた。





「....これは、その、違うから」



「ふーん？」



「なんか文句あるの....？」





少し怒った口調でそう言うと、憂太の手が私の手に絡んできたのがわかった。





「だから、別に繋ぎたいわけじゃ「僕が繋ぎたいから」



「僕が繋ぎたいから、繋がせて」





甘い声でそんなことを囁かれる。



その手を拒む理由もなく、そのまま黙って駅への道を進んだ。

贈呈式→←質問

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す