可愛い ページ23
「えっと....お待たせ。遅くなっちゃってごめんね」
少し照れくさくなりながらも、もうどうとでもなれという精神で憂太のもとに駆け寄る。
ふわりと香る柔軟剤の香り。
.....あ、これ野薔薇ちゃんの匂いだ。
「ううん、全然待ってないから大丈夫だよ.....って、」
「......え、」
私の姿を見て、突然硬直し始める憂太。
つま先から頭のてっぺんまで、じっくりと視線を向けられる。
.....え、やっぱりおかしかったかな。
野薔薇ちゃんの服だし可愛くないってことは100%ないんだけど、
着てる本人がおしゃれっていうものに慣れてないしな....
うーん、と考え込みながら悩んでいると、少し強めに腕を掴まれる。
「......可愛い」
「え、?」
「可愛い。似合ってる」
「....っ、!?」
真っ直ぐな目でそんなことを言われると、心臓の鼓動が妙に速くなってばくばくする。
可愛いなんて言葉、真正面から言われたのなんて初めてで動揺が隠せない。
な、んでだろ。顔が異様に熱い。
「あ、ありが.....と.....っ、」
「そんな服持ってたっけ?パーカーのイメージしかない」
「えっと.....持ってなかったから、野薔薇ちゃんに貸してもらったの」
「そっか、服持ってなかったのか.....」
今度は深刻そうな表情で俯き始める。
「.....うん。今日買いに行こっか、服」
「え....!?でも、行きたいことあるんじゃ.....」
「大丈夫。カフェに行きたかっただけだから、空き時間なんていくらでもあるよ」
それならここのショッピングモール行こっか、と話を進め始める憂太。
私の服を買いに行くってだけのはずなのに、彼の表情は妙に浮ついている。
「....どうしてそんなに楽しそうなの?」
「え?だって....」
よそ見をしていた私の顔は憂太に掴まれ、ばちっと目を合わせられる。
「―――可愛いAちゃんがもっと見れるってことでしょ?」
....なんなんだ、この人。
変なこと命令してきたり、優しく接してきたり。
どこぞの女誑しなんですか....?
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しろりん(プロフ) - 完結おめでとうございます!憂太くんの夢主ちゃんへの過保護っぷりが…ドキドキしました…夢主ちゃん…これからは怪我に気を付けてほしいな…憂太くんとお幸せに!☺💞 (4月30日 19時) (レス) @page47 id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
cloudy1_11(プロフ) - 読んでると顔が◜𖥦◝ヌフフってなっちゃいます!(謎) (1月22日 20時) (レス) @page22 id: f03e70c477 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - とっても良いお話ですね!夢主ちゃんが…憂太くんと関わる事で…どう変わっていくか楽しみです!☺ (12月31日 11時) (レス) @page17 id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - スター作者おめでとうございます!これからも応援し続けたいと思います。 (12月25日 7時) (レス) @page17 id: 48af94a731 (このIDを非表示/違反報告)
さとう - 初めまして、作品めちゃくちゃ面白いです!こんな私がいつのも変ですがこれからも作品作りしてくれると嬉しいです( *´꒳`* ) (12月13日 18時) (レス) @page7 id: 81b5ea6727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年12月10日 13時