主従関係【乙骨憂太】

選択 ページ2

今更こんなことを思ったって何も変わらないのに。



もっと早く冷静になって、こんなことしなければよかった。





「すごく強かったよ、乙骨くん。こんなこと言うのもあれだけど、戦ってて楽しかった」



「私を正気に戻してくれてありがとう」





まだやり残したことは沢山ある。



でも、一度してしまったことは取り返せないから。




......死んだらお母さんにまた会えるかな。



会えないか。お母さんは天国で、私は地獄だもんね。




深呼吸をして、ゆっくりと目を瞑る。



そろそろ痛みが来る頃かと思ったら、ポカポカとした何かに包まれていく感じがした。





「え.......？」





体の痛みが一気に引いていく。



先程出来た傷も、跡形もなく綺麗に消えた。





「君は......人を殺したことはある？」



「えっと、ない、けど.......」





なにこれ、なんで傷が治ってるの？



私の力.....じゃないよね。きっとこれは、乙骨憂太の力......




なんで？どうして私を助けるの。





「相馬A。君には選択肢がある」



「呪術規定に従って死ぬか、僕に従い続ける代わりに生きるか」



「―――さあ、どっちを選ぶ？」





そりゃあ、生きていたい。



せっかく乙骨憂太に正してもらったんだから、母の仇を討って呪霊を祓いたい。



私のような人を生まないためにも、呪霊を祓い尽くしてしまいたい。




こんな私にもまだチャンスがあるというのなら、私は.......





「なんでもする、なんでもするから―――」



「まだ、生きていたい」





その言葉を聞いて、乙骨憂太はようやく刀を納めた。





「うん、分かった。信じるよ」



「これからよろしくね、Aちゃん」

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