敵対 ページ1
「.....っ、なかなかやるじゃん。こんなに本気になったのは久しぶりかも」
刀を持った黒髪の呪術師はそんなことを呟く。
さっきまで明るかったこの場所、呪術高専ももうすっかり暗くなってしまった。
戦い始めてから、一体どれくらいの時間が経過したのだろう。
「私だって、こんなに強いなんて思ってなかった....」
私の心の声も、つい漏れ出てしまっていた。
想定していた戦いとは全く違う展開。
.....一人相手にこんな手こずるなんて、思ってもみなかった。
「でもごめんね。僕は君に負けるつもりもさらさらないよ」
「これで終わりにしよっか」
光の籠もっていない真っ黒な瞳。
ただでさえ膨大な呪力がこれでもかと膨れ上がっていくのが分かる。
....あ、死ぬ。一瞬でそう悟った。
「う゛あ゛っ゛、!!!」
猛烈な痛みが私を襲う。
ボキボキ、と骨が粉砕される音がした。
....どうして、一発で殺さないんだろう。
そんなことを考えていたら、目の前に刀が突きつけられた。
「君、名前は?」
「....相馬、A」
「....そう。僕は乙骨憂太。特級呪術師」
乙骨憂太。
やっぱり、特級呪術師だったのか。
「君はどうして高専に乗り込んできて、僕に襲いかかったの?」
「......母が、呪霊に殺されたから」
案の定この返答だけでは意味が分からず、乙骨憂太は首を傾げている。
「母が殺された時、そこに呪術師もいた。
彼は母を守れずにともに死んでしまった。だから私は、呪霊を恨んだ」
「....自分の持ってる力を磨いて、街中の呪霊を祓い続けたの。
怒りに任せて衝動的に。でも、その時に思った。呪霊って全然強くないなって」
「だから、母を守りきれなかった呪術師に不信感を覚えた。
こんなに弱い呪霊すら倒せず、人のことも守れないなんて何がしたいんだって」
「だから自分の抱えている恨みが、呪術師に向くようになった」
自分で動機を説明しながら、おかしくなってつい笑い出す。
「今冷静になって思うと、本当に馬鹿だよね。
呪術師は何も悪くないのに。勝手に八つ当たりして、高専に乗り込んで普通に負けて」
「あの呪術師だってきっと、弱かったわけじゃない。
ものすごく強い呪霊と敵対したのかもしれないし、不慮の事故が起きたのかもしれない」
「....命がけで母を守ろうとしてくれた呪術師を恨むなんて、何がしたかったんだろう」
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しろりん(プロフ) - 完結おめでとうございます!憂太くんの夢主ちゃんへの過保護っぷりが…ドキドキしました…夢主ちゃん…これからは怪我に気を付けてほしいな…憂太くんとお幸せに!☺💞 (4月30日 19時) (レス) @page47 id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
cloudy1_11(プロフ) - 読んでると顔が◜𖥦◝ヌフフってなっちゃいます!(謎) (1月22日 20時) (レス) @page22 id: f03e70c477 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - とっても良いお話ですね!夢主ちゃんが…憂太くんと関わる事で…どう変わっていくか楽しみです!☺ (12月31日 11時) (レス) @page17 id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - スター作者おめでとうございます!これからも応援し続けたいと思います。 (12月25日 7時) (レス) @page17 id: 48af94a731 (このIDを非表示/違反報告)
さとう - 初めまして、作品めちゃくちゃ面白いです!こんな私がいつのも変ですがこれからも作品作りしてくれると嬉しいです( *´꒳`* ) (12月13日 18時) (レス) @page7 id: 81b5ea6727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年12月10日 13時