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ページ38

床に散らばった鎖の破片。



私が使ったまま片付けられていないカードゲーム。




食事もろくにしていないように見えた。





「どう、して」



「どうして、僕に会いに来ちゃったの」





乱れた髪の乙骨くんは俯きながらそう言う。





「.....ずっと怖かったよ。乙骨くんのことが」



「毎日恐怖にまみれて、生きてる意味も感情も失って.....辛いことしかなかった」



「でも、なんでだろうね。自分の手首が、心が、また縛られたいって叫んでるんだ」



「嫌いになんてなってなかった。寧ろ、どんどん好きになってた」



「.....乙骨くんの言う通りだったよ。私はあの時からずっと変わってない」





乙骨くんの頬に触れる。



冷たくて、血の気がないほどに真っ白な肌。





「私のこと、乙骨くんが狂わせたんだよ。全部全部、乙骨くんのせい」





手に力を込めて乙骨くんの頬をつねる。





「私ッ、私、もう―――」



「乙骨くんがいなきゃ、生きていけない」



「.....付き、合ってよ。私と」





私の言葉を遮るように口付けを落とされた。



思いが溢れかえるような、そんな濃厚な口付け。




嬉しさとか喜びとかそんなんじゃない。乙骨くんからの強い怒りを感じる。





「君を、これ以上壊したくなかったから。だから素直に受け入れた。

会うこともやめて、極力考えるのもやめた」



「なのになにそれ。やっぱり僕がいなきゃ駄目でしたって。

分からなかっただけでずっと好きで、縛られるのが心地よかったんですって」



「.....また同じことの繰り返しだよ。僕の思いに支配された君は自由を失う。

僕を愛すことしか出来なくなる」



「もう遅いからね。やっぱり嫌ですとか聞いてあげないよ」





髪をガシッと掴まれる。



強制的に合わせられる目。それはこれ以上なく狂気的で、何かに囚われていて。



ものすごく、魅力的だった。





「ほら、僕のことだけ見てよ」



「.....僕が居ないと生きていけないんでしょ?Aちゃん」





反転術式で消えてしまったはずの手首の跡をなぞられる。



指先でくるくると触られた後、口で吸われて赤紫色の跡が付いた。





「いいよ。付き合ってあげる」



「吐きそうになるくらい愛してあげる。僕がもっとAちゃんを壊してあげるよ。....だから」



「―――逃げないでね」





例え、手と足の鎖が外れたとしても。



私の心を縛る鎖は、一生外れないのかもしれない。





―――fin―――

作者より→←溢れる



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設定タグ:呪術廻戦 , 乙骨憂太   
作品ジャンル:アニメ
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!!完結おめでとう御座います。狂愛、ヤンデレや特にかん,なんきん系本当に大好きで尚且つストーリーも良くて、ストルック?と言いますか、ただ好きで自己的に戻ってくる凄く良かったです!!他作品も読ませて頂きます!是からも応援しております (3月9日 21時) (レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
金糖の少女 - ェッ、ヤダ乙骨パイセン閉じ込めてくださ(絶命)え、めちゃめちゃ言葉の言い回しすきです、言葉のチョイス神ってますか?神ってますね(自己完結)特に最初のつま先から頭のてっぺん〜ってところほんと読んでて天才か?ってなりました! (1月8日 21時) (レス) @page1 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷エマ(プロフ) - 匿名さん» 返信遅くなってすみません...!プリ小説では活動してないです!良ければ作品の方教えていただいてもよろしいですか...? (8月27日 20時) (レス) id: 63021b120b (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - すみません、主様ってプリ小説でも活動してますか?プリ小説の方でこの小説と似たようなお話があったので連絡させて頂きました。最後になりましたがこのお話とても好きです応援してます (8月21日 15時) (レス) id: 9346b68fad (このIDを非表示/違反報告)
みどり(プロフ) - やけに私の好みどストライクだなぁと思ったら、「病みと最凶は紙一重」の作者様....!!どおりで!あぁもう好きです!!!!生きる糧です!!ありがとうございます!ありがとうございます! (2023年2月5日 19時) (レス) id: 9a5127d1cc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年1月16日 19時

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