再会 ページ32
「え.......おっこつ、くん.......?」
気がついたら、乙骨くんが床にバタリと倒れていた。
首に切り傷のようなものが入っていて、綺麗な顔に血が飛んでいる。
嘘。死んでない、よね......?
「大丈夫、死んでないよ。ただこのまま起こしといたら面倒だから気絶してもらった」
「......でも、正直驚いたよ。憂太の刀に籠もってた呪力は膨大で、
多分もろに受けてたら跡形もなく死んでた。.....それほどまでに憂太は本気だったんだよ」
「まだ、Aと一緒にいたかったんだろうね」
乙骨くんの顔に耳を近づけると、確かに呼吸音が聞こえてきた。
それにほっとしてなんだか全身の力が抜ける。
「憂太が起きる前に行こう。とりあえず、後のことは考えなくていいから」
「みんな待ってるよ。Aのこと」
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「一応体の処置は終わったが.......心の方は大丈夫なのか?まだ混乱してるだろ」
硝子さんに施してもらった反転術式のおかげで、体についていた跡は大抵消えた。
鎖に擦れて赤くなっていた手首も、足首も。
「.....あまり、分かんないんです。
ある日を境に感情が沸かなくて、何も感じなくなって。混乱してるのかどうかも....」
「.....そう、か。辛い思いをしたんだな」
「でも、大丈夫だ。いつも通りの生活に戻ったら、きっと感情も沸くようになる」
「だから安心しろ。お前には頼れる仲間もいるしな」
硝子さんに肩を叩かれる。
するとその時、医務室のドアがコンコンと鳴ったのが分かった。
「ちょうどお前のお仲間も来たみたいだ」
「積もる話もあるだろう。私は席を外すから、たくさん話してやれ」
硝子さんはドアを開けて、医務室を出る。
同時に入ってきた3人は、何も言わずに私に飛びついた。
「......よかった。お前が無事で」
「ごめんな、A。俺達、真希が気づくまで疑いもしなかった」
「しゃけ.......」
久しぶりに見る3人の姿。
みんな私の姿を見て、大粒の涙を流している。
........やっと、会えた。私の大切な友達に。
「ずっと、ずっと会いたかった。みんなの声も顔も、全部遠い記憶みたいにどんどん掠れていって」
「.....よ、かった。もう、会えないかと思ってた」
涙が私の頬を伝う。
ああ、私嬉しいんだ。この空間が落ち着いてしょうがない。
......久しぶりだな。こんな感情抱くなんて。
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弓月有無%(プロフ) - 初コメ失礼致します!!完結おめでとう御座います。狂愛、ヤンデレや特にかん,なんきん系本当に大好きで尚且つストーリーも良くて、ストルック?と言いますか、ただ好きで自己的に戻ってくる凄く良かったです!!他作品も読ませて頂きます!是からも応援しております (3月9日 21時) (レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
金糖の少女 - ェッ、ヤダ乙骨パイセン閉じ込めてくださ(絶命)え、めちゃめちゃ言葉の言い回しすきです、言葉のチョイス神ってますか?神ってますね(自己完結)特に最初のつま先から頭のてっぺん〜ってところほんと読んでて天才か?ってなりました! (1月8日 21時) (レス) @page1 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷エマ(プロフ) - 匿名さん» 返信遅くなってすみません...!プリ小説では活動してないです!良ければ作品の方教えていただいてもよろしいですか...? (8月27日 20時) (レス) id: 63021b120b (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - すみません、主様ってプリ小説でも活動してますか?プリ小説の方でこの小説と似たようなお話があったので連絡させて頂きました。最後になりましたがこのお話とても好きです応援してます (8月21日 15時) (レス) id: 9346b68fad (このIDを非表示/違反報告)
みどり(プロフ) - やけに私の好みどストライクだなぁと思ったら、「病みと最凶は紙一重」の作者様....!!どおりで!あぁもう好きです!!!!生きる糧です!!ありがとうございます!ありがとうございます! (2023年2月5日 19時) (レス) id: 9a5127d1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年1月16日 19時