閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

平穏 ページ21

ゆっくり深呼吸して、今日あった出来事を思い出してみる。



まず乙骨くんと服を買った。



自分用の可愛い服と、乙骨くんに似合う服を何着か。




次に久しぶりの外食をした。



乙骨くんと2人きりの外食。すごく美味しそうなてりやきチキンのサンドイッチだった。




.......でも、確かに―――




楽しかったか、と聞かれたらそういうわけでもない気がする。



別に楽しくなかったわけじゃない。つまらなかったとか、そういうことじゃなくて。



ただ単になんも感じなかった。



2人でデートしたことに対して、何も感情が沸かなかったんだ。





「もしかして.....楽しくなかったかな」





乙骨くんは不安げな顔をして私の顔を覗く。



......ヤバい。乙骨くんを不安にさせてる。



言わなきゃ。楽しかったよって。



そうじゃなきゃ―――




何をされるのか、私にも分からない。





「楽しかった.....よ」



「....本当に？なんか辛そうな顔してるけど.....」



「......サンドイッチにからし入ってただけだから。大丈夫」



「ならいいけど.....」





これでいい。



変に波風を立てず、平穏な状態を維持する。



そうすれば大丈夫だ。



怖い思いをする心配なんてない。





「じゃあ.....帰ろっか、ほら、手貸して？」





離れないように、逃げ出さないように、ぎゅっと手を握られる。





「戻るよ。僕達の居場所に」

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