閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

関わり ページ19

「.....はぁっ.......」





乙骨くんの服も買おう、なんて軽率に言うべきじゃなかったのかもしれない。



.......何十着も選ばされた。



軽く8コーデくらいは作れる気がする。




全く外に出てなくて運動もしてなかった私としては、それだけでものすごく疲労が溜まる。



本当に弱体化したな......





「ごめんね、疲れちゃったよね。そこにカフェあるから休憩しよっか」





入ったことのないような小洒落たカフェに入った。



コーヒーのいい匂いが鼻をくすぐる。





「ちょうどお昼ごはんも食べてなかったしね。なんか食べたいものあったら頼んでいいよ」





メニューにはコーヒーからジュース、パンケーキからパフェまで様々なものが載っていた。



閉じ込められる前から外食なんて滅多にしてなかったし、新鮮な光景に浮足立つ。



その中で私の目についたのは、てりやきチキンが挟まったサンドイッチだった。





「.....これが、いい」



「分かった。じゃあ店員さん呼ぶね」





乙骨くんはテーブルの端においてあったアンティークなベルを振る。





「はい。ご注文はいかが致しましょう」



「.....えっ、と。このてりやきチキ.....んｯ、！？」





注文をしていたら、乙骨くんに口を塞がれた。





「このてりやきチキンのサンドイッチとサラダで。以上です」



「かしこまりました」





ごゆっくりどうぞ、と言いながら店員さんは厨房へと入っていく。



乙骨くんの方をちらりと見ると、微かな怒りが感じ取れた。





「僕言ったよね？他の人と関わったら帰るよって」



「.......Aちゃんと会話を交わすのは、僕だけでいい」





他の人と関わったら帰る、ってそういう意味だったのか。



だから乙骨くんはこんなにも怒ってる。



私が店員さんに注文をしようとしたから。



......店員さんと、ほんのちょっとだけ会話をかわそうとしたから。





「.....次やったら帰るからね」

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