閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

フェア ページ18

「眩しい.....」





久しぶりの外。



窓もカーテンも閉まっているような密室にいた私にとっては、とても異様な光景。




.....空気が、とても澄んでいる。



エアコンから出される風じゃない。乙骨くんが帰ってきた時にふと入り込む風でもない。




外に出る、という当たり前だったはずの行為って、こんなにも―――





「お買い物、っていっても色々あるよね。まず何がしたい？」



「.....服、欲しい」



「分かった。お洋服ね」





多分乙骨くんは、私に逃げてほしくないから手を繋いでるんだろうけど。



なんだかそれはものすごく恋人っぽくて、少し嬉しかった。





「これなんかどうかな。Aちゃんに似合いそう」



「.....本当だ。すごく私の好み」



「じゃあ買ってこよっか。

Aちゃんずっと制服着てるし、僕も服買ってあげたいと思ってたんだよね」





レジに行こうとする乙骨くん。



私はその姿を見た時、反射的に乙骨くんの腕を掴んでいた。





「......え？Aちゃん？」



「待っ、て。乙骨くん」



「.......乙骨くんの服も、買おうよ」



「僕の服....？もう持ってるから、別に買わなくても......」





乙骨くんの頭にはてなマークが浮かんでいる。





「私の分だけ買っちゃったら、それはなんか違うっていうか、フェアじゃないっていうか.....」



「.......デートって感じが、しない」



「......！」



「で、でも、乙骨くんがこれをデートだと思ってないなら別に「じゃあ」



「じゃあ、Aちゃんが僕の服選んで？」





甘ったるい瞳に見つめられる。



私だけに向けられたその視線が、その言葉が。



酷く熱くて、鉛のように重い。





「君が僕の選んだ服しか着れないみたいに、Aちゃんも僕を縛ってよ」



「僕の持ってる服全部捨てて、Aちゃんが選んだ服でクローゼットをいっぱいにして....」



「僕を君のものにして」





優しく抱き締められる。





「そうじゃないと、フェアじゃないでしょ？」

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