閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

気づく ページ12

ガクガクと震える両足をなんとか手で抑えて、なんとかドアの前に立つ。



前までは触れることの出来なかったドアノブに手をかけた。





これが正しいって、自分でもちゃんと分かってるはずなのに。



私の手は一向にドアノブを捻ろうとしない。




......大丈夫。これであってるんだよ。



少し勇気を出すだけで、真希達に会える。



また楽しい日常が戻ってくる。好きなことが出来る。




.......乙骨くんと、純粋に付き合える。かもしれない。





「........よし」





深呼吸をして、ドアノブを思いっきり捻った。





「......ん？」





思うように扉が開かない。



もしかして、最近外に出ていないせいで力が弱っているのだろうか。




そう思いながらもう一度ドアノブを捻る。





「え......？」





何回試しても、扉は開きそうにもない。



捻るたびドアノブはガチャガチャと音を立てている。



なんだこの音。まるで、鍵でもかかってる時みたいな.......





「.......」





鍵でも、かかってる時みたいな？





「........っ、！」





私は......なんて馬鹿だったんだろう。



乙骨くんのこと、よく見てれば分かってたはずなのに。




乙骨くんが外に出る時、私はいつもよそ見してたから気づかなかった、けど。



確か、いつも乙骨くんは.........





扉を開ける時、内側から鍵で開けてから外に出ていた。




このドアノブだって普通に見てみればおかしい。



だって内側にも鍵穴がついてるのだ。




多分この扉は、内側からも外側からも鍵での開け閉めが可能なんだろう。



つまり言ってしまえば、この部屋の中にいる人は鍵を持ってない限り出られない。




私が鎖を外せたところで、どうこうできる問題じゃなかったんだ。





「.......あーあ、」



「これも駄目か.......」

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