episode.9 ページ9
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徐に、机にある物が置かれた。
「これはお前が所持していたライフルだ。勿論見覚えあるよな？ゾム」
『ゾム』と呼ばれた男性は顔を上げ、生返事で『ああ』と返答した。
こいつゾムっていうのか。正直あまりに良い思い出が無さすぎる。目合わせないようにしよ...。
「これは麻酔弾だろう。しかも何の理由かは知らんが、おおよそ撃たれたことを気付かせない為に、球の威力が極限まで低く改造されている。が、効果が出るまでに時間がかかるってところが難点か」
そうライフル片手にグルッペン・フューラーはまじまじと見つめている。その姿があまりにもそれらしい。
「こんなもの使わず殺した方が手っ取り早いだろう？しかし君はそれをしなかった。逃げ出す瞬間でさえ”発煙”手榴弾を使って殺す事を避けている。その理由は何だ？」
「……」
「これもだんまりか。なら最後にもう一つ質問をしよう。君は何故ナイフ一つ所持していない？」
その言葉に圧し掛かる重たい無言の時間。
アサシンが、ナイフ一本持っていないなんてそんな馬鹿げた話聞いたことがない。と言いたげに幹部達の表情は揃ってそれだった。
言葉が出ない。出したらどうなるか分からない。
それを口に出してしまえば、たちまち殺されるだろう。こんな無力な獲物他にいないのだから。
しかしそれも無慈悲にこの男によって口に出されてしまった。
「何の理由かは知らんが、君は人を殺さないアサシンだな。一体どうやって俺を殺さず、依頼人に差し出すつもりだったのか益々興味が湧く」
そう言うこの男の表情はどこか心の奥底から楽しむような、そんな表情をしていた。
静まり返る部屋。誰もその会話に口を出そうとしない。渋々と、死を覚悟しつつ口を開いた。
「そこまで全部分かっているのなら、私の力なんてただの兵士よりも要らないでしょう。……さっさと処分でもなんでもすればいい」
表情は多分強張っている。当たり前だ。死ぬかもしれないんだから。だけど最後だ。最後くらい威嚇してやってもいいじゃないか。
が、グルッペン・フューラーは目を丸くして一つ、ため息をついた。
「なんでそう処分されたがるんだ君は。むしろ殺さず無力化出来る方がおかしいんだ。だからこそ君を引き入れたい。あとこれは私情だが、
____面白そうだからな‼」
無邪気な笑顔でそいつは確かにそう言い放った。
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
