episode.46 ページ46
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___動かさなければ、手を。
___裏切るよりも先に、手を。
そう頭の中で暗示でもかけるように繰り返すが、真後ろでステイしている化け物の圧力か、はたまた目の前に居るモーガンによるものなのか。
意識とは反対に手は全く動く気配が無いそのもどかしさを感じつつ、今出来ることはただ呆然と自称アサシンが次に継ぐ言葉を待つことだけだった。
「___つかぬことをお聞きしますが、総統閣下は今” これ ”をお持ちで？」
「…は？」
“ これ ”を示すように指で形作れていたのは「お金」。あまりにも予想だにしていなかった言葉に、俺もモーガンも眉を顰め唖然と自称アサシンの方を見つめている。しばしの沈黙が落ちる。緊張感はどこへやら。
渋々その沈黙を破るように、モーガンは口を開いた。
「……いいや、今は持ち合わせていないが？」
だから何だというんだ、と言いたげな目は少し泳いでいる。流石のこいつでも困惑しているようだ。
しかしその言葉を聞いた自称アサシンはわざとらしくため息を吐き、わざとらしい口調で言葉を並べ始めた。
「そうですか、それは残念。うちでは前払いしていただくのが基本なんです。なんでも金を払わずにバックれる客がいるものでして」
遠回しに表現されているが、答えこそもう出ている。
怪訝そうに話を聞いていたモーガンは、それを完全な答えへと導いた。
「つまり？」
「申し訳ありませんが、その依頼お受け致しかねます」
口角を上げて堂々と放たれた言葉。今この場に勝算など一欠片も無いはずなのに「負ける要素など微塵もない」そう思わせてしまうほどの清々しい表情で。
それがモーガンの苛立ちを頂点まで達せしめた。
「___もういい、二人とも殺せ」
これ以上言葉もない。右手を振り上げ、軽く空を切る。その合図は廊下の奥先でステイしていた化け物へと届き、甲声と共に右足を床に強く叩きつけ姿勢は低く、走り始める体制に入っている。
「つっても結局、この状況がまずいことには変わりないよなぁ！？」
自称アサシンが敵にならずに済んだことには取り敢えず安堵した。が、かといってこいつがこの状況を打破してくれるとは鼻から思っていない。マイナスにはなってもプラスにはなってくれないのが、この女の扱いにくい所だ。
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
