episode.42 ページ42
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微かに小さな吐息が溢れ出る。自分の張り詰められた緊張が解けたのはそれだけで容易に分かった。
「ギリギリですねほんとに」
目の前にいる自称アサシンも恐らく同様だ。
俺の左手にあるUSBメモリが、何よりも安堵の時を与えてくれている。
ドアが開く寸前で、USBメモリを引き抜き既にダクトの中へと戻っていた。
「全部コピー出来たんですか？」
「いや、半分ちょいって所やな。やけどこれだけでも十分収穫や」
そう言うがやはり不完全燃焼であることに変わりない。自分で言った言葉を自分で聞き返して、もう一度溜息を吐きかけた。
_____吐きかけた時だった。
不意に轟音が鳴り響き、同時に強い地響きが今いる場所の床に当たる位置に響く。つまりそれはダクトにまで届いており、
気付いた時には、ダクトから真下の部屋へと突き落とされていた。
突き落とされたというべきなのだろうか。
具体的には天井丸ごと真下の部屋に叩き落とされた感じだった。というか、事実そうなっている。
状況を把握しようと、落ちた衝撃の痛みには目も暮れず辺りを見回すが砂埃が立ち込める中で、流石に視界も良好ではない。
ならばと感覚を研ぎ澄ませて手を床へと這わせると、生暖かいものが手に触れる。それはもう慣れ親しんだ血だった。死んでいるのは気絶させていた管理者や兵士だ。
思わず収納していたナイフを取り出し胸の前へと構える。姿勢は低くしたまま、動揺で出てこようとする吐息も静かに抑える。
が、不意に左腕を誰かに掴まれ、かと思えば砂埃に加えて煙がその部屋にたちまち広がった。
そのまま左腕は勢いよくそちらへと引っ張られ、強制的に足は左右両方前へと進んでいる。
「何が起こってん！」
聞いたところで分かるはずもない。そう分かっているのに、状況を理解するために人間聞かずにいれない生き物だ。
「分かりません！急に天井が抜けたかと思えば、こんなことになってんですから！」
そう言うのは自称アサシンだった。動揺を隠しきれていないにも関わらず、発煙手榴弾のピンに指をかけていくつも点火させている。
とはいえこれだけの大騒動ともなれば、兵士が気付かない訳がない。
目の前にいた兵士に急いでナイフを構えるが、動くより先に自称アサシンは足を兵士の胴体へと巻き付け、勢いのまま兵士の頭を右手で床へと叩きつけ意識を失わせている。
こういう状況に慣れているのか、焦りとは反対に冷静にこの状況に対処していた。
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
