episode.41 ページ41
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「にしても、とんでもないもん見つけちまったなぁ」
「まぁ、あの観光客の件もありましたし完全に黒だとは思ってましたけど、まさかここまでとは」
そうぼやいていると、ふと頭の中で何かが合致する。
あの観光客達の様子は今思い出してみても、明らかに何かの中毒者だった。
自我がほとんど無い癖に、並大抵の戦闘力じゃなかった。それなのに残された理性が漏らした言葉は『殺してくれ』
もしかしてこの実験でいう『成功した』結果って
「とりあえずこれ持ち帰れば何かに使えるやろ」
「…そうですね」
今あの時の人たちのことを思い返したところでどうしようも無い。亡くなった命が帰ってくるわけでも無いのだから。
「他になんかあるかな…」
再びマウスを動かそうとしていた手はふと止まる。
ゾムさんは画面から目を離して、部屋のドア先へと視線を移していた。
「どうかしました？」
「…誰か来る」
「えっ」と小さい声がこぼれ出ている内に、ゾムさんはそそくさとUSBメモリにデータをコピーする段階に入っている。その間耳をよく澄ませてみれば、確かにこちらへと向かってくる足音が一つあった。
革靴…の音だろうか。明らかに巡回の兵士でもなければ、メイドが履いているブーツの音でもない。
考えられるとすれば、ダヌラト国の幹部だろう。
それともう一つ、何か重たい音が廊下から響いている。人が歩いている音というより、重たい荷物を床に何度も落としているような。そんな音だ。
「まずいです、こんな部屋の状況見られれば間違いなく勘付かれる」
「やとしても、今部屋を出て向かってくる奴の相手なんかでけへん。周りに巡回の兵士も大量におるし、監視カメラにも映る。ここでギリギリまで粘るしか無い」
そう言いつつ、パソコンの前で静かにコピーし終わるのを待っている。半分まで切った所だろうか、足音はもう耳を澄まさずとも聞こえる距離だ。
「まだ終わらないんですか⁉︎」
小声でゾムさんの方へと声をかけるが、コピーは半分切った後から進みが遅い。その状況に思わずじっとりと気持ちの悪い冷たい汗が背中を流れていく。
時間は待ってくれなどしないし、
足音はやはり迷いなくこちらへと近づいてくる。
どうしたってダヌラト国の人間には悟られる。
逃げるまでの時間は少しでも稼がなければならないのに____
そう考えている内に、ドアノブに外から手がかけられる。そのドアは廊下からの光を少し漏らして、ゆっくり開いた。
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
