episode.38 ページ38
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「いやー！やっぱこの瞬間がいっちばん楽しいっすわぁ！」
無邪気に満面の笑みを浮かべてナイフを勢いよく振り、刃についた血を地面に落としている。ただでさえ異臭の漂う空間に、未だに慣れない鉄臭い匂いが鼻を突いてきた。
「ほんと最悪...」
我々国で最初に会った時も思ったけどこの悪臭も込みで楽しんでいるのなら、よほどの変人だ。そう言ってやりたい。
「でもまぁ...これで先には進めますね」
「巡回の兵士が交代するまでのタイムリミット付きやけどな。この調子なら自称アサシンがおらんくても余裕そうやなぁ？」
ククッとフードの奥で笑いながら、一級フラグ建築士も顔負けなフラグをここに建築しているが、本当にこの人だけでどうにか出来てしまいそうなのがどうにも腑に落ちない。
しかし何はともあれ、地下水路を巡回している兵士は一掃出来た。城の中に入れば、情報を元にカメラの監視を回避してダクトに入ればほぼこちらが勝ったのも同然だ。
「意外とどうにかなりそうやな」
「...気抜かないでくださいね」
そう注意するが、ゾムさんの目は集中力を切らしていない。
にしてもダクトの中にしてはやけに広い。手入れされている訳でも無いのに、まるで汚れていないし何より天井が広いおかげで中腰で移動できるのはまだありがたい方だ。
と考えている内に、既に目的地の真上まで到着していた。
「ま、機密情報保管してるくらいやし管理者も見張りもおるわな」
先にダクト下を見下ろしていたゾムさんが小声でそう口にし、隙間から同様に下を見下ろせば大量のパソコンと睨めっこしている管理者が死んだ目で労働をこなしている姿があった。
「では私が先に管理者を麻酔弾で処理します。その後時間差でゾムさんが見張りの兵士を」
「言われんでも分かっとる」
「...それと見張りの兵士は殺さないでくださいね。さっきと今とじゃ状況が違う。万が一、人に見られたら」
「あー！もー！それも分かっとるって。お前の不殺プレイに付き合うつもりはないけど、今回はその方が利口やからな」
どうにも腑に落ちないと言いたげに、顔には不満の表情が浮かんでいるがナイフはきっちりと革のケースに戻されている。
それを見て安心し、マントの中からライフルを取り出した。
相手は数十人。このポンコツ麻酔弾の時間差を利用すれば数名先に倒れたとしても、その後すぐに残りの数人が眠ってくれる算段だ。
静かに狙いを定めトリガーに指を重ねた。
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
