episode.32 ページ32
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カランっと耳に心地の良い音を響かせてドアを開けると、そのすぐそばでふてぐされた様子で腕を組み壁にもたれかかっているゾムさんがいた。
「もう終わったんか」
「はい……あの、何も聞かないんですか？」
特に何を聞く様子もなく、店を後にしようとするゾムさんについて行きながら言葉ではつい引き止めてしまった。
聞かれた所で私から答えるつもりもないけど。
「聞きたいことが聞けると思ってないからな」
と言われて思わず心が読まれているのではと勘繰るが、どうもそうではないらしい。
「なら、何でらっだぁに聞かないんですか？……もしかして払うお金も無いとか？」
必死に脳内で考え出た答えがこれしかなかったので、とりあえず心配気に(煽りもこめて)聞いてみたが即答で「ちゃうわ」と返された。
「らっだぁさんがあんなにお前のこと信用してたから。……わざわざ金払って聞くのもなんか野暮やと思っただけや」
「……そうですか」
この人意外と人情深いんだろうか。普通この状況で聞いてこないなんて軍人じゃありえない。
これから何しでかすか分からない奴と任務へ向かうのに、ただ人間一人の言葉で考え方を変えるなんてことは。
「なんか意外と性格丸そうですね」
「は？別に今から聞きに行ってもええんやけど」
「冗談です」
なんて駄弁っている内に気付けば人気の少ない街から
もう人でごった返した城下町まで来ていた。
顔を上げれば、目の前はもう我々国の城塞だ。
兵達の見張りがある中、中々どうして未だに堂々と侵入してる感の否めない自分の異質さを感じつつ、ゾムさんの顔で兵達はすんなりと城内へと通してくれる。
「とりあえず報告だけグルッペンにしに行くか」
「ですね。城内地図もちゃんと手に入ったことですし」
ここからグルッペン・フューラーがいる部屋までかなり遠かった気もするが、一応は任務だ。総統室まで迎えば、執務をこなす姿があった。
「任務終わったでグルッペン」
「ご苦労様。それでどうだ？
ダヌラト国の城内地図は買えたか？」
「ええ、ばっちりと」
そう言って広げて見せると、安堵したのか肩を下ろして分かりやすくホッとしているのが伺える。
「ああそれで任務についてだが、決行日はダヌラト国総統不在の三日後。それまでにお互い準備は済ませておいてくれ。偽造パスポートやその他の道具は後々ロボロから渡されると思う」
「了解です」
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
