episode.18 ページ18
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「なぁゾム」
「ん？」
グルッペンの命令通り彼女を医務室まで送り届けて、お互い自室に戻ろうとしていた時だ。ずっと気になってたことを無意識に口にする。
「お前昨日からなんか変やぞ。何苛立っとんねん」
「.....シッマだってさっき吠えとったやん」
そう言葉を返されるが、俺が吠えた理由は明確だった。あのどうにも信用出来ない侵入者を、使える使えない以前に易々と引き入れたグルッペンへの怒りだ。
確かにあいつの総統としての強さに憧れてはいるが、それも今回は簡単に首を縦に触れそうに無い。
でもコイツが苛立つ理由は、俺と同じではない事くらい分かっていた。
「俺とゾムの怒っとる理由はちゃうやろ。なんなんや言うてみ。」
「.....」
ばつが悪そうに顔を顰めるゾムを横目に、自分なりに理由を探ろうとしたがしばらく経った末に、渋々ゾムは口を開いた。
「.....言葉にすんのは難しい、けどなんかあいつの戦い方見ててめちゃくちゃムズムズすんねん。」
そう言うゾムの面持ちは神妙だ。
彼女の戦い方の何がむず痒いのかは分からないが、それ以前に何故それがゾム自身の苛立つ理由になるのか分からない。
しかし「せっかく楽しめると思ったのに」とぼやくゾムを横目にふと頭の中で全てが合致した。
コイツと対等に戦える相手は、正直両手で数えるのに事足りる。幹部の中に何人か互角で競い合える相手もいるが、それを除けば誰一人として居ないのだ。
故に彼女の存在はコイツにとっては希少なんだろう。
圧倒的力の差がある訳ではないが、彼女のスキルはゾムに負けてはいない。事実、昨晩はその脅威を瀕死状態から免れている。
あれで仮にもし手を抜いていたと考えれば。コイツのむず痒さにも苛立つ理由にも辻褄が合った。
「やけどお前相手に手は抜いてへんように見えたけど」
「.....んなわけ。」
まあ戦ってる当人にしか分からない感覚か。にしてもそんな理由で苛立たれている彼女はなんとも不憫だが。
ただ俺の中では、尚更彼女という存在がよく分からなくなっていた。最初こそ無駄な殺しはしないスタイルのアサシンかと思ったが殺傷武器一つ持っていないことには、その推測は的外れ。
かといって殺すことに何か理由があって躊躇しているのかと思えばそれも違う。
何にせよそんな奴が汚れ仕事をやっていることには、ただ頭を悩ませるだけだった。
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
