episode.15 ページ15
.
「まずいでグルッペン‼」
「んぁ？」
勢い良く扉が乱暴に開けられたかと思えば、そこに飛び込んできたのはコネシマだった。
頭を掻き毟り気怠げに書類を作成していた手を止めてコネシマの方へと耳を貸す。
「ゾムあいつ、あのアサシンと模擬戦やるつもりやぞ！殺す気満々やでどうするん？」
「...まぁ大体予想はついてたがな」
「は？ええんか？お前が気に入って引き入れたんやろ？」
『危害は加えるな』という命令は確かに昨晩した。その命令自体は今日も有効だが、模擬戦という飽く迄も擬似的な戦闘行為なら“ 危害 ”には入らないとでも考えたのだろう。
それも既に織り込み済みだが。
「実際彼女が何処まで役に立ってくれるのか、この目で確かめる良い機会じゃないか。」
「そらそうやけど...」
そうと決まればこんな所で書類作業をしている場合では無い。先程まで取り組んでいた大量の書類に目を瞑り、同時に後にトントンに怒鳴られる未来にも目を瞑ることにした。
.
「ルールは簡単、どっちかが倒れたり気絶した方が負けや。分かったか？」
「...ええ」
中庭に降りてきてから審判をそこら辺にいた兵士に頼み込み、手につけられていた重みのある拘束具を外されてルール説明を受けている今。今になって後悔を噛みしめていた。
あの場で拒否する権利はほぼ無かったとはいえ、ほぼ負けが確定している戦いに挑むなんてあまりにも馬鹿馬鹿しい。
身体の傷だってまだ癒えていない。
動くだけでも腹に軽く痛みが走るのに。
手にはダガーナイフが一本。いつも使っている武器は全て回収されている。つまり、私はどう足掻いてもこの武器一本で勝負をしなければならない。
「それでは、模擬戦を開始します。両者武器を」
その言葉にハッと我に帰り、ゾムさんが手元のナイフを構えていることに慌てて自分も構え直す。
この際、もう吹っ切れてしまおう。
自分に出来る全力を出し尽くす思いで。
「始め‼」
その言葉を合図にお互い地面を強く蹴って、ナイフを向け合った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
