episode.12 ページ12
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「にしても根詰めすぎとちゃう？」
再び静まり返った部屋で、オスマンがぽつりと言葉を漏らした。その言葉はグルッペンを思ってのことだろう。どことなく顔に出ていた。
「なんだ藪から棒に。俺はただ自分のやるべきことをやってるだけだゾ」
そんな労りの言葉を軽くあしらいつつ、手元の書類に目を通す。それも束の間、持っていた書類が手から離れていった。
「それに対して言ってんねん。次の戦争、侵入者を引き入れでもしな勝てへん戦争なん？」
グルッペンが持っていた書類を取り上げて、話を続ける様子に少しばかりグルッペンの表情が歪んだ。
次の戦争。
飽く迄も予測に過ぎないが、恐らく次の戦争は『ダヌラト国』との戦争になる。
同盟自体組んではいるものの、そんなものただの口約束に過ぎない。領地への侵入、我々国内での密売、火薬や武器の輸入。最近のダヌラト国の動きは火を見るよりも明らかだ。
ただ今までなら目を瞑って、その日を待ち侘びることが出来ただろう。相手は我々国と並ぶ戦力を持ち、軍事国家でもある。そんな相手と戦えるのだから。
だがだからこそ備えは万全である必要がある。
「...そうだな。人材は多いに越したことはない。それも彼女ほど力があるものなら尚更な」
オスマンに奪われた書類を取り返し、再び万年筆のキャップを外してペン先を走らせる。
しかしそんな言葉を気がかりにオスマンの表情は相変わらず曇ったままだ。
「...さっきは場を収める為にああは言ったけど、買い被りすぎとちゃう？何の理由かは知らんけどアサシンやっとる癖に人殺しもせえへん様な奴が戦力になるん？」
肩をすくめ、男は椅子に身体を預ける。
それに万年筆を走らせていた手がふと止まった。
「ま、正直大きな賭けではあるな。彼女については兄さんに調べてもらう予定だが、結局使えるか使えないか、この一ヶ月で判断すれば良いだけだ」
そう言うと、引き出しの中からある書類を手に机に徐に置かれた。
「なにこれ？」
その書類を目にしたオスマンは初めて見たような反応をする。そこに書かれていたのはダヌラト国への潜入任務についてだった。
「一つ手は打っておくべきだと思ってな。ゾム一人に任せる予定だったが、ついでだ。彼女の力量を見る上での判断材料になるだろ？」
「ふ〜ん...なるほどな」
まだ言いたいことはある様子だったが、これ以上口にするのも野暮だと思ったのかオスマンは口を噤んだ。
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
