episode.2 ページ2
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ある程度距離は離せた頃合いだろう。ワイヤーガンをマントの中に収納して、塔から辺りを見渡す。
先程撒いた兵士達が帰ってくれることは勿論、サイレンも未だに鳴り止む気配が無い。出直すという選択肢が一瞬頭を過るが、下手に警備強化されてしまえばそれで終い。益々潜入が難しくなるどころか、恐らく今回を逃せば次の機会は無い。
「出直すのは無理か…」
一つの選択肢を除外した所で、仕方なく一枚の地図を取り出した。そこに描かれているのは希少価値が極めて高い我々国の城内地図。
情報屋からわざわざ高い金を払って仕入れた情報だ。使えなかったらあの店主を闇市にでも売りつけて肉塊にでもしてもらおう。
なんて冗談にも物騒なことを考えつつ、地図に目を凝らす。標的が居る場所には大方目星をつけてくれていて目標に青丸が記されていた。
それを確認してマントの中に地図をしまい足を一歩進めようとした所でふと、背中に悪寒が駆け抜けていった。
「こんな真夜中に散歩か?」
凛とした声を背後から重くかけられる。
気配をまるで感じられなかった。“同業者”に限りなく近いこの存在感。振り返った視線の先には一人の男がその場に立っていた。
シンプルな緑色のパーカーに、特徴的なクリーパーの刺繍。深く被ったフードから僅かに見えるのは、獲物を捉えるかのような剣呑な光を宿した深緑の瞳。
「ドブネズミが侵入したって話聞いたんやけど、そいつの目的お前何か知らんか？」
「さぁ？私は誤って忍び込んでしまっただけですので」
“ドブネズミ”扱い。どうにも腹立たしいが今はさて置き、必死に思考回路を回す。この男の威圧感から少しでも隙を見せれば殺される。そんな警鐘が自分の中で鳴っていた。
無意識にマントの中のライフルを握りしめる。
「つっても大体見当は付いてんねんけど…。どうせグルッペンの暗殺が目的なんやろ？一応殺さず捕獲してこいって話にはなってんねん。痛い思いしたく無かったら大人しくついてきてくれへんか？」
「ご冗談を。大人しく身柄渡して『はい分かりました』なんて言う人間この世に居ませんよ」
口ではそう余裕綽々と軽口を叩きつつも、反対に額から冷や汗が流れていく。
が、目の前の男は口の端を歪ませて哄笑した。
とても善人とはいえない表情で。
「ｶｯハハハ‼そうやんなぁ…。いや、俺もそんな中途半端嫌やなぁって思っとってん。
_____どうせなら正々堂々殺し合いしようぜ」
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
