自由気ままな祓い屋 (ページ3)

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「A様！！A様ぁ！！」

騒々しく私の名前を呼ぶ声が聞こえる

眠たい目を擦り、無理矢理目を覚ます

目に入り込んでくるのは結城＿＿＿＿＿＿＿

否本名、斎藤結城

私に仕えている内の一人だ

お人好し

そんな言葉が似合う人

現在、気持ち良く寝ていた私を起こしに来てくれていた様で

「A様。早く起きてくださーい。転校早々遅刻なんて笑えませんし。というか、誰も笑いませんけど。代わりに“清乱様”の雷が落ちてきますよー。」

冗談混じりに起こしてくる結城

彼の会話に入ってきた清乱(せいらん)とは

私の叔母にあたる人

両親が亡くなり、幼い私を引き取ってくれた人

私と叔母さんはごく普通に仲がいい……多分

妖怪について除けば

妖怪に対して、憎しみを抱いている

何故だか知らない

聞いても教えてくれないし、知りたくもない

そんな叔母さんは妖怪は滅ぼすのが当たり前論を持つ人

叔母もまた妖怪を滅しない私とたまに……たまに、反論し合う事がある

が、特に気にしない

まあ、それ以外は普通だ

他の家庭となんら変わりない……と思いたい

「A様。今日は良く寝ていらっしゃいましたね。何か良い夢でも？」

「まあ、そんなとこ。」

たわいない話をしながら、布団を畳んで終った

朝食を食べて、叔母さんに挨拶をした

新品の夏用の制服に手を通した

着替え終わり、玄関で靴をはいていると結城が鞄を持って現れた

笑みを浮かべながら

「A様。いってらっしゃいませ。。」

と、送ってくれた

「いってきます。」

そう言って玄関から出ると走って学校へと向かった

家から学校は少し遠いためバス通で、間に合わなければ、３０分待たなければいけないのだ

ギリギリ間に合い、後ろの席で外の景色を楽しむ

「そういえば、夢に出てきた子の名前は………何だっけ。」

……思い出せない

はぁ。と溜め息が出た

彼との短い思い出を久しぶりに夢で見た

私は、きっとあの頃を忘れないだろう

彼は、私を覚えてくれているだろうか

きっと、忘れているのかもしれない

それは、それで仕方がない

だって、それはもう何年も前の話なのだから

もし、覚えてくれていたら

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿嬉しいな

(そんな私の淡い願い事)