【夏目友人帳・成り代わり】孤独の少女 (ページ9)

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どぉん。と音がしたと思えば、巨大な美しい白い毛並みの狼が目の前にいた

ニャンコ先生は私の体に前足をおき、力をかけてくる

「う……」

呻き声をあげる私にニャンコ先生は尚、脅してくる

『さぁ寄越せ友人帳を』

「だっだめよ。先生こそ変な事に使う気よね」

今までの先生との会話で分かった

この妖怪に渡していけない、と

『むっ。当たり前だ。そんな面白そうな物！！』

誤魔化気もなく淡々と述べる先生に衝撃を受ける

「なっ何て奴……！」

『早く渡さないと潰してしまうぞ』

「う…」

ミシミシと嫌な音が聞こえる

『さぁ…「やめてっ」』

ゴッ。身の危険を感じニャンコの顔面に己の拳で殴った

『～～～～～～～』

痛がっている先生を余所にこれが私にとってどんなものなのか話す

「…あのねぇニャンコ先生…。一応これは私にとっては祖母の大事な遺品なの。軽々しく手放せないわ」

そう…これは大事な祖母の遺品

ずっと独りで孤独を感じた人生を送っていた祖母のたった一つの大事な…大事な祖母の遺品

「＿＿＿＿＿確かに祖母は人とうまく付き合えなかったらしい。彼女を覚えている「人」は殆どいないの。娘だった母でさえ記憶にないぐらい若くしてなくなっていて…」

口下手な私は少しずつ言葉を先生に伝える

先生にとってこれは利用価値のあるものだろうけど

「唯一の血縁の私くらいはその名を憶えていたり遺品を大切にあずかっていたり…

つながりを持っていてやりたいの」

人ごととは思えないしね、と付け加えて薄く笑みを浮かべた

暫く、静寂がその場を支配した

「………さて、面倒はなるべくさけたいの。返せるなら、さっさと返さないと」

いつまでも、彼女(妖怪)達を縛っておくわけにはいけない

『何を？』

「名前よ。先生、返し方知らない？」

『阿呆、やめんかもったいない！！それに何枚あると思っているんだ！！』