【夏目友人帳・成り代わり】孤独の少女 (ページ3)

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第一話　　ニャンコ先生登場！ページ3

「ハァ…ハァ……ハァ」

私は逃げていた。

他の人には見えないだろう。

その存在から…。

何度も転んで制服が薄汚れ、擦り傷が出来ているがそんな事気にしている暇などない。

今は夏。殺人的暑さを我慢しながらただただ走る。

暫く走っていると藪を抜けると広い道に出た。

「…あれ？夏目さんか…」

背後から声をかけられ振り返ると、そこには二人の男子。

_____________西村悟君に北本篤史君、だっけ。

「ナツメ？ああ、二組の転入生か」

「どうしたですか夏目さん、何やってるんですか？」

心配したように話し掛けてくる彼。

「何って…」

正直に話す訳にもいかず、言葉を濁らせる。

そしてキョロキョロ。と周りを見渡して何も居ない事を確認して安堵する。

「……何でもないわ」

平静を装いパンパン。と制服の汚れを払う。

「……マジですか？大丈夫じゃ…」

「それより近くに神社ってないかしら？」

言葉を遮り変な事を聞いた私に北本君は、ん？と不思議そうにこちらを見ていた。

「その藪を抜けた所にあったような気が…」

西村悟君は指を差して親切に教えてくれた。

「ありがとう！」

「え。夏目さん？」

そんな彼にお礼を言って言われた通りに藪の中に入っていく。

何やってるんですか？ねぇ…。

ガザッ。一際大きな音が背後から聞こえた。

振り向けば、そこにはもっさりとした髪に大きな目が特徴の“何か”。

これが見えないとは羨ましい…。

小さい頃から時々、変なものを見た。

それは恐らく妖怪と言われるものの類。

もともとあまりいい気はしていなかった。

最近は何故かやたらと絡んでくる妖怪がいる。

……また…一体何だって言うのよ。

そんな事を考えている内にヒュッと風を切るような音が耳元で聞こえた。

その途端、ドンと大きな手で木に勢い良く叩きつけられる。

「……うっ」

【ああ。捕まえた】

妖怪の大きな手が私を掴む。

【捕まえた。捕まえたぞ。レイコ…。やっと。かえせ。かえせ】

だんだんと掴む手に力がこもっていく。

「…！？」

……レイコ？

思わず顔をしかめる。

誰かと勘違いされているの？

【待て】

いつの間にかもっさりした妖怪の背後には別の妖怪が。

【まあ待て。まずは、名前が呼べないよう舌を抜いてしまおう】

もっさりした妖怪はその命令に従い力を強めた。